ショパンコンクール出場の岡田さん「自分の響き追求」
update 2011/1/2 12:08
昨年10月、ポーランドのワルシャワで開かれた「ショパン国際ピアノコンクール」に、函館出身者として岡田奏さん(19)が初めて出場した。大舞台で過ごした時間は「何物にも代えがたい経験になった」と振り返る岡田さん。新年を迎え、「貴重な体験を糧に一歩一歩前に進み、自分にしかできない音楽を求め続けたい」と目を輝かせている。
岡田さんは函館本通中卒業後、単身で渡仏。パリ国立高等音楽院ピアノ科に入学し、昨年6月に首席で卒業した。現在は同音楽院室内楽科で研さんを積んでいる。
5年に一度開かれるショパンコンクールは、小さいころからの憧れの大会。惜しくも一次予選で敗退したが、マルタ・アルゲリッチさんら審査員を務めた世界的なピアニストを前に演奏できたことは「忘れられない出来事」となった。ただ、自分以上に個性豊かで人間味にあふれた世界の若手奏者の演奏、人となりに触れ、「精神的にも自分の未熟さを痛感させられた」。
夢のようなコンクールから2カ月余り。「伴奏やアンサンブルもこなしたいから」と、パリでは室内楽中心のレッスンを受けるが、夢はソリストだ。自分にできるパフォーマンスは何か、自分と音楽の関係性は…。音楽表現は奏者の人間性が表出されるだけに、自己を見つめ直す時間が以前よりも増えた。「1日も、1時間も、1秒も、絶対に無駄にしたくない」。そうして鍵盤と向き合う一瞬一瞬は試行錯誤の連続で、自分との戦いだった。
12月27日夜、函館市芸術ホールで開かれた「凱旋コンサート」。「変化」をテーマに掲げて臨んだリサイタルで成長の音色を響かせた。地元から声援を送り続ける大勢の市民の温かな拍手は「今後の活動の大きな原動力になった」という。
今年は5月にカナダで開かれる若手音楽家のための「モントリオール国際音楽コンクール」に挑戦する。「常に前進し続けなければならない」と準備する毎日だが、1月15日までは古里に滞在、10日の函館市成人祭にも出席する。「大事な人生の節目。パリへ旅立つ前に、古里の友人と思い出を残したいです」。
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