新幹線「札幌延伸」先送り 道南の沿線関係者 落胆
update 2010/12/23 14:21
政府は来年度の予算編成にあたり、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金(約1兆5000億円)のうち、1兆2000億円を国庫返納することを決めた。これに伴って北海道新幹線新函館(仮称)―札幌間の着工判断が先送りされ、道南でも沿線自治体や経済団体関係者に落胆が広がった。
今回の措置で、同区間をはじめとする未着工区間への投資に向けたハードルが高まる結果となった。道南の自治体や関係者は「財源をしっかり確保して」「このままではマチの計画が進まない」と、民主党政権への不満を募らせている。
函館市の西尾正範市長は「財源問題を早急に整理した上で、1日も早い着工に取り組んでほしい」とコメント。札幌延伸に伴う函館駅―新函館駅の経営分離問題は現在も見通しが立っていないが「延伸はオール北海道として、国にしっかりと働きかけていきたい」とする。函館商工会議所の松本栄一会頭も「平等な社会基盤整備へ向けて政治力を結集し、着工のめどを早く付けてもらいたい」と話す。 また、北斗市の高谷寿峰市長は「甚だ残念。今後も粘り強く取り組んでいくしかない」、木古内町の大森伊佐緒町長も「入り込みの絶対数を増やす意味では延伸は極めて大事。先送りは道にとっても、木古内にとっても経済活性化にマイナス」と話す。
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函館以北の自治体からは、焦りやいらだちの声がより強く聞かれる。 七飯町の中宮安一町長は「景気がどん底の今は、新幹線工事で雇用を創出する効果もあるのでは」と嘆く。新八雲駅(仮称)が計画されている八雲町も「札幌から鹿児島までを通す国策として、1日も早く決めてほしい」(新幹線推進室)と訴える。長万部町もまた、相次ぐ着工先送りに「新幹線を核としたまちづくりを進めていく上で支障をきたしている。計画を作っても具体の議論に踏み込めない」(新幹線対策室)と苦悩をにじませる。
国土交通省の整備新幹線検討問題会議が、札幌延伸の検討課題として1、並行在来線の経営2、在来線との共用区間での運行3、最高設計速度の見直し―の3点を提示した点についても、疑問の目を向ける関係者は多い。ある自治体の担当者は「北海道だけ条件が厳しく感じる。着工できない方向に持って行っているとしか思えない」とこぼす。
一方で同省は、10年間で1000億円を各地の並行在来線支援に充てる方針を示した。北斗市の高谷市長は「どのような形で配分されるかは分からないが、江差線にも適用されることを期待する。道南地域並行在来線対策協議会の協議においても、鉄路維持に向けて好材料となる」と評価した。
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