桧山のスケトウ漁 休漁で所得補償要請へ 産卵期の1月 資源保護で

update 2010/12/3 09:56


 【乙部】日本海のスケトウダラ資源の回復に向けて、ひやま漁協(乙部町、市山亮悦代表理事組合長)と桧山すけとうだら延縄漁業協議会(佐藤弘会長)は、本格的な産卵期に当たる1月を自主休漁期間とするため、休漁に伴う漁業者の生計を維持する、新たな所得補償制度の創設を求める要望活動を開始する。

 減少傾向が続くスケトウ資源の回復につなげる取り組みとして、水産庁や道水産林務部のほか、道内選出国会議員などに要望を行う。乙部町によると、水産資源の保護を目的とした休業補償制度は全国的にも前例が無いという。

 同漁協と桧山沿岸のスケトウ漁業者で組織する同協議会は、現在は11月から3カ月間としている漁期を自主的に2カ月に短縮。1月以降は自主休漁の措置を講じて、産卵期のスケトウを漁獲せずに繁殖を促すことで、日本海全体の資源回復につなげたい考えだ。

 政府は新年度、コメ農家を対象とした個別所得補償制度を漁業分野にも拡大する方針だが、漁業者による資源保護を後押しするため、独自の補償制度の創設と広域的な漁獲量の調整も求めるという。

 海洋環境の変化が進む日本海では、桧山沖がスケトウが繁殖できる最後の聖域≠ノなった。桧山沖で行われる伝統的なはえ縄漁は、網による漁より効率は劣るが、漁獲によるダメージは低く抑えられる。漁業者は産卵海域を禁漁区に設定。本格的な産卵期に入ると自主休漁の措置を講じたり、はえ縄の本数や釣り針の数を制限している。違反行為があった場合は罰金を科すなどの規律も設けている。

 ただ、スケトウが回遊する他の海域では、底引き網や刺し網で多量の漁獲を続けている現状は変わらない。国のTAC(漁獲可能量)制度により、過去の実績から算定した漁獲枠を使い切り、自主休漁で未達となった桧山から漁獲枠の融通を受けて漁獲を伸ばした海域もある。

 11月上旬に始まった今季のスケトウ漁では、小型で未熟な4年魚が中心になっている。ほぼすべてのスケトウが繁殖可能になる6年魚に成長する前に、他の海域で取り尽くされてしまえば、桧山沖で行う資源保護の取り組みは意味を失うことになる。漁業関係者は「桧山だけが犠牲になって資源保護を進めても効果は低い。他管内ではスケトウを一網打尽にするような漁が続いている。日本海全体で漁獲量を調整する取り組みが必要」と危機感を募らせる。

提供 - 函館新聞社


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