ゴミがクマを呼ぶ 桧山南部で出没相次ぐ

update 2010/12/3 09:55


 【上ノ国、厚沢部】桧山南部では山林に隣接した民家や山間部を走る幹線道路などの周辺で、ヒグマの出没が相次いでいるが、こうした地域では、ヒグマをおびき寄せる生ごみや空き缶などの処理が徹底されていないなど、共通の事情が浮かび上がっている。

 上ノ国町宮越では11月29日午後9時40分ごろ、民家にある、コンポストと呼ばれる生ゴミを堆肥化する容器の近くにヒグマがいるのを住民が発見。江差署が現場で警戒しているほか、町が駆除を検討している。

 桧山南部のある狩猟関係者は「生ごみのにおいはヒグマをおびき寄せる。山間部に近い場所ではコンポストの設置は避けた方がよい」と指摘する。雑食性のヒグマは、においが強い生ごみや水産廃棄物などを好み「ごみを放置していれば何度でもやって来る。人と鉢合わせになれば攻撃してくることもある」と警鐘を鳴らす。

 厚沢部町共和でも7月、民家裏でヒグマが駆除されたが、現場周辺にあったジュースの空き缶などには、ヒグマの鋭いかみ跡が残っていた。ジュースなど天然には存在しない甘味料は「ヒグマにとって麻薬のような強烈な効果がある。味を覚えると何度でも現れる」(町内のハンター)といい、ごみの放置や空き缶などのポイ捨てが、人に接近する危険なヒグマを生み出す実態に危機感を募らせている。

 ヒグマは12月上旬から山中で冬眠に入るが、近年は冬場でも人里に出没するケースも各地で報告されている。今年1月には江差町田沢町の民家周辺で、親子らしいヒグマの足跡が発見された。別の狩猟関係者は「暖冬の影響で冬眠が遅れたり、餌不足で十分な栄養を摂れないヒグマが、年が明けても餌を求めて歩き回っている可能性がある」と注意を呼び掛けている。

提供 - 函館新聞社


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