TPP参加 道南の農業団体からも懸念の声

update 2010/11/13 11:45


 政府が関税の原則撤廃を目指す環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加する方針を打ち出したことを受け、道南の農業団体からも、海外産の安価な農水産物の流入に伴う影響を懸念する声が上がっている。一方で「世界から孤立を避けるべきで、国の立場も分からないではない。消費者自身の見極めが重要になる」との意見もある。

 新函館農協営農販売部の二本柳寛部長は「国を挙げて自給率向上を図ろうとしていた矢先に、協定に同意できるわけがない。競争力を声高にしているが、それ以前の問題」と指摘する。同農協の年間生産額は270億円だが、TPP加盟では80億円の減収になるとの見通しもあり、「農家だけでなく、多くの関連業者が大打撃を受ける。地域全体をつぶすことになる」と批判。組織として関係機関に断固反対を訴えていくという。

 函館市漁協の高谷広行専務理事は「今ここで賛成、反対と明確な答えを求めるより、冷静に現状を把握しなければならない」と前置きした上で「TPPに加わった場合、道南の漁業への打撃は果てしないのは確かだ。特にコンブは深刻で、輸入に押されかねない。マイナス面が多くなる」と懸念する。同漁協は漁連と連携して、問題解決に向けた国への意見や協議を今後重ねる。

 消費者団体も冷静に功罪両方を見つめている。衣食住の勉強会で家計のやりくりなどについて学ぶ「函館友の会」のメンバー、林千鶴子さん(63)は「海外からの安価な商品が出回れば、家計を助けるかもしれないが、長い目で見れば地元生産者や商店を見放すことになる可能性が高い」と客観的に問題を注視する。一方で「国の立場も十分理解はできるが、友の会としては、安心安全の『地産地消』にこだわっていく姿勢は変わらない。私自身、主婦の立場からは消費者自らが問題の本質を見抜くことが大事だと思う」と話している。

提供 - 函館新聞社


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