きょうは介護の日 寄り添い見守る…それだけ 義母を介護する松倉さん
update 2010/11/11 10:17
函館市中島町の松倉養子さん(60)は、アルツハイマー病を疾患した義母のトヨさん(88)の介護をしながら仕事や家事、市民団体のボランティアを続けている。家族の介護には、苦労やつらさもあるが、養子さんは老いていくトヨさんをありのまま受け入れながら寄り添い、トヨさんも養子さんに身を委ねる。11月11日は介護の日。
「おばあちゃんとずっと暮らしてきた。介護というよりは一緒に生活をしているという感じです。昔は子育てでおばあちゃんに助けられたし、お世話するのはごく自然の流れです」と養子さんはさらりと話す。約35年にわたる同居生活で、互いに気心も知れている。養子さんは「もし、同居していなかったら今のような在宅介護はできなかったのでは」と話す。
養子さんは週4日、ホームヘルパーの仕事をしているほか、週1回、函館認知症の人を支える会(赤とんぼの会)の活動にも取り組む。このため外出することは多いが、デイサービスを上手に活用しながら無理のない介護をする。「身内だからといって義務の気持ちで介護すると負担になる。介護する側、される側にとって最良の方法を探ることが大切」と語る。
トヨさんが認知症を発症したのは10年ほど前。直前の言動を忘れたり、不必要な買い物を繰り返すなど行動に異変が生じた。最初は不審に思った養子さんだったが、やがて認知症と確信した。「発症前から覚悟はできていた。だから冷静に受け止めることはできた」と振り返る。
その後、認知症について勉強し、ホームヘルパーの資格も取得した。赤とんぼの会に入会し、先輩会員からアドバイスを受けた。04年に医療機関を受診した際、トヨさんは脳の委縮で知的機能が低下するアルツハイマー病と診断された。
見当識障害からくる小さなトラブル、ハプニングは常につきものだ。「認知症の介護は想像力、推理力、演技力、忍耐力が必要。周囲には理解できないことでも本人にとっては何か理由や根拠がある。それを理解してあげることで本人も救われるし、後の対策につなげることができる」と養子さん。できる限り、トヨさんの意思やペースを尊重し、見守りに徹した。トヨさんが混乱しないよう、家にある家具の配置変えや備品の交換は極力避け、あらゆることに気を配る。
トヨさんは2年ほど前まで外出もでき、近くの店で買い物もしていた。だが、最近は身体機能や理解力も低下し、要介護3の状態。養子さんも1年前から趣味の自然散策や文筆活動などを封印している状況だが、「後悔したくないから」ときっぱり。慈しみの心で、きょうもトヨさんに接する。
◆介護の日
厚生労働省が、高齢者や障害者らに対する介護に関して重点的に啓発する日として2008年に定めた。「いい日いい日(毎日あったか介護ありがとう)」の語呂合わせで11月11日となった。
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