ロ大統領の北方領土訪問、函館でも反発や怒り
update 2010/11/2 10:08
「訪問は遺憾だ」「日本政府は毅然(きぜん)とした対応を」―。ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土・国後島を訪問した1日、函館市内でも大統領の言動に対して反発や怒りの声が上がった。今回の事態となった起因を外交政策の弱さととらえ、日本政府を批判する声も相次いだ。
北方領土復帰期成同盟渡島地方支部の駒井惇助事務局長(76)は「北方領土は旧ソ連時代から不法占拠している場所。大統領の訪問は不法占拠を自ら認め、戦争を肯定していることにもなる。日ロ間で平和条約締結の交渉をしている最中の訪問は非常に遺憾。厳重に抗議すべきだ」と力説。
1993年10月にエリツィン大統領と細川首相(ともに当時)との間で結ばれた「東京宣言」に違反すると指摘し、「ロシアの軍艦が函館に先日来て、友好ムードが高まっている中で水を差すような行為。国民として怒るべき」と語気を強めた。
日本政府に対するいら立ちや批判の声も多く聞かれ、全国樺太連盟函館支部の敦賀敬之支部長(72)は「得撫(うるっぷ)島ならまだしも、北方四島の、しかも国後に入られるとは」と驚き、「ロシアとは北方領土、中国とは尖閣諸島の問題を抱え、日本の外交の弱さに遺憾」と述べた。
両親が樺太からの引き揚げ者だったという、はこだてギャラリーの落合良治社長(63)は「1日の国会の集中審議でこの問題が出ないのは、北方の漁場を開拓した、先人の労苦を与党も野党も分かっていない証しでは。ロシア側も戦後長い間、北方問題をはっきりさせたい気持ちがあるはず。日本政府がその気持ちに負けている」と政府の対応を批判。
戦後65年が経過し、北方領土の返還運動の風化を懸念する声も。市内昭和の主婦、佐野淑子さん(70)は「領土問題は民主党政権になってから潮が引いていく感じがする。道民として当たらず障らずの姿勢はふに落ちないし、国はもちろん道ももう少し強く出てほしい」と語る。
領土返還に向けて、長年署名活動を続ける北方領土返還運動渡島地方協力員会の花巻イシ会長(82)は「北方領土は日本の領土と信じて活動している。1人でも多く署名を集めて大きなうねりにつなげたい」と述べた。
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