桧山沿岸に劇薬など危険な漂着物…打つ手なし

update 2010/10/29 11:44


 【乙部、江差】日本海の桧山沿岸では、危険な劇薬が入ったポリ容器や、爆発の恐れもある信号弾など、危険な漂着物が発見されるケースが相次いでいる。大量の漂着ごみには中国語やハングルの表記も目立ち、海を越えて押し寄せる厄介者≠ノ住民も困惑を深めている。

 乙部町では19日、韓国製とみられる海難救命用の信号弾2発が未使用の状態で漂着した。同タイプの信号弾は松前町でも発見された。底部にあるピンを引くと、落下傘を着けたロケット弾が約300メートル上空に発射され、照明剤に着火すると3万カンデラ(1カンデラはろうそく1本の明かりに相当)の強烈な光が発生し、付近の船舶や航空機に遭難者の位置を知らせる仕組みという。ハングルや英語で使用方法や「火気厳禁」などの表記もあった。

 町内の漁船は使用しておらず、貨物船など外国籍の大型船舶が使用期限が切れたため、海に投棄した可能性があるという。保管に当たった乙部町では「爆発の恐れはないのか」「どうやって保管すれば」と、職員が困惑の表情を浮かべた。道外では暴発や誤発射で住民が重傷を負う事故も起きている。太平洋戦争中の不発弾と同じく爆発の恐れもある危険物として、江差署を通じて海上自衛隊函館基地隊が回収し、爆破処理を行う予定という。

 一方、桧山沿岸では2008年以降、冬から春にかけて、韓国製とみられるポリ容器の大量漂着も続いている。容量20リットル前後の青や白のポリタンクが中心で、漢字やハングルで「過酸化水素水」「硝酸」「硫酸」などの記載も見られる。桧山管内では、今年1月末には270個の容器が確認された。上ノ国町では何らかの薬品が入ったままの容器もあった。環境省によると2000年から09年までに、日本海を中心に全国で19万個近いポリ容器が回収されたという。

 韓国ではノリの養殖業者が、網の消毒に強酸性の薬剤を使用している。朝鮮半島で不法投棄された容器が、海流に乗って日本海北部まで流れ着いているようだ。道外では、薬品に触れた人がやけどを負う事故も続発している。また、海岸では韓国などでアナゴ漁に使われる円すい形のプラスチック容器も目立っている。

 大量の漂着ごみには打つ手がないのが現状だ。管内の漁業者は「薬品類が漁業にどんな影響を及ぼすのか分からない」と心配顔。沿岸の町では、住民による海岸清掃などの機会に処理を続けているが「いくら回収してもきりがない」「危険な漂着物もあるのでうかつに触れない」「処理費用もかさむので手が付けられない」などの悲鳴も上がっている。

提供 - 函館新聞社


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