摩周丸の「飾り毛布」当時の形で展示

update 2010/10/26 10:49


 函館市青函連絡船記念館摩周丸(若松町)で、これまでオブジェとして人気を呼んでいた「飾り毛布」が、船室係OBの手により花のような形をした「大輪」として制作され、展示が始まった。運航当時の毛布を使用し、寝台を再現したケース内に本物の姿と技を伝える形で披露。来場者からは「柔らかく豪華な印象、職人の技を感じさせる」と好評だ。

 飾り毛布は、青函連絡船では1908(明治41)年から昭和30年代まで、1等、2等の寝室などで行われた。船室係が制作し、一期一会の精神で客をもてなしていた。64(昭和39)年、津軽丸就航時、船が折り返す間の作業時間が短くなり、姿を消した。

 同館を管理・運営するNPO法人「語りつぐ青函連絡船の会」が、「展示物は本物で伝えたい。作業を担当していた人も高齢化が進み、教えてもらえるうちに受け継ぎたい」と企画。連絡船OBなどから船室担当者を探し、市内在往で元連絡船船客長、菊地精一さん(81)に依頼。菊地さんも「摩周丸を残そうと頑張っている人のためになるのなら」と引き受けた。

 一般的なシングルサイズで「JNR(日本国有鉄道)」のマークが入った毛布を見た菊地さんは、「昔を思い出した」と数十ある種類から形の崩れにくさなどから「大輪」を選んだ。展示ケースの中での作業で、動きにくさはあったものの、数分で完成させた。「45年以上ぶりだったが、体はしっかり覚えていた」と菊地さん。周りには菊地さんの仲間が仕上げた小さなサイズの14点も展示している。

 同会の白井朝子副理事長(59)は「前から、横から見ても芸術的に優れている形。まさに客をもてなすという精神から生まれた文化を感じてもらえれば」と話している。

提供 - 函館新聞社


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