青函トンネル長さ世界2位に/関係者ら「技術は今も世界一=v

update 2010/10/19 13:13


 【福島】スイス南部のアルプス山脈に全長約57キロの「ゴッタルドトンネル」が貫通し、青函トンネル(53・85キロ)は1988年の開通から22年間守り続けてきた「世界最長」の座を明け渡すことになった。トンネルが走る福島町や入り口がある知内町の関係者らは「世界一ではなくなるのは少し残念」と複雑な表情を見せる。その一方で、元トンネルマンは「技術の進歩もあるが、陸上と海底では工事の難易度が違う。青函トンネルに駆使した技術は、今でも世界一=vと胸を張る。

 「工事は苦難の歴史。坑内は40度、湿度も90%あり、大変だった」。町出身で着工から貫通までの約20年間、工事に携わった元トンネルマンの菊地謹一さん(72)は当時を振り返る。

 菊地さんは、掘削機械の操作や修理、取り扱いの指導にあたった。「世紀の大プロジェクト」と呼ばれた工事は、水や柔らかい地盤との戦いの連続。1976年には坑内に水が吹き出すアクシデントも発生した。「これ以上掘ることができるのか不安だった」という。

 日本全国から作業員が集まった現場でもあった。「苦労も多かったが、作業員は仕事に誇りを持ち、掘った。すばらしい現場だった。先進導坑(調査坑)が貫通した時の喜びは、何とも言えない」。

 現在は町役場の施設管理をするかたわら、ボランティアで青函トンネル記念館で観光ガイドを行い、観光客に工事の歴史を伝えている。「北海道新幹線が5年後に開通するが、その時は一番列車に乗るのが夢」と話している。



 町が運営する町三岳の青函トンネル記念館では、展示物に「世界一」と表記されている。町産業課では「修正できるものであれば、すぐに対応したい」としている。「幾多の苦難を乗り越え完成させたトンネル。誇りあるトンネルということに変わりはない」と語った。

 知内町湯の里のトンネル入り口近くには町観光協会が、列車や写真愛好家のためにトンネル撮影台を設置している。看板には「世界一長いトンネル」とある。観光協会では「2位になるのは残念。表記を変更するか今後協議する。PRの方法も考え直さなければならないかもしれない」と話している。

提供 - 函館新聞社


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