鎮魂歌 天国に届け

update 2010/10/18 14:22


 函館MB混声合唱団(伊藤喜久雄理事長、約60人)の創立40周年記念演奏会が17日、函館市民会館大ホール(湯川町1)で開かれた。同合唱団の創設者であり、この日の第1部で指揮を振る予定だった石見普二男さんが今月2日に亡くなり、団員たちは大きな悲しみを乗り越えての本番だった。

 開演30分前、函館は雷を伴う激しい雨に見舞われた。空がまるで大粒の涙をこぼしているかのような様子だったが、開演直前に雨は上がり、まぶしい太陽が地を照らした。

 第1部は石見さんが振る予定だった「6つのロシア民謡」。指揮は大村義美さんが代行した。黒の衣装を着た団員たちは、男性は深紅のハンカチーフを胸に、女性はショールを首などに巻き、凍てつく大地に暮らしながら心の内に燃えるような情熱を秘めたロシアの民族性を表現。哀愁漂うドラマチックな歌声やシベリアの雪原を馬が駆けていくようなパーカッションのリズムに、会場は一気に引き込まれた。

 第2部「フォーレのレクイエム」は函館市民オーケストラの伴奏で、特別団員も含めた総勢98人で演奏された。静かで重厚感のあるオーケストラに、繊細な合唱が加わる。木村映之さんの深みのあるバリトンソロや、佐藤朋子さんの明るく清らかなソプラノソロを合間にはさみながら、安らぎに満ちたハーモニーが観客を包みこんだ。

 帰り際、来場者たちは雨の上がった明るい空を見て「さっきの雨がうそのよう」と驚いた。団員たちの鎮魂歌が石見さんに届き、きらきらと照らしているようだった。

提供 - 函館新聞社


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