あすからたばこ大幅値上げ、禁煙外来の来院者急増

update 2010/9/30 11:28


 たばこが10月1日から大幅に値上げされる。この機会に禁煙しようと函館でも、病院の「禁煙外来」を訪れる患者が急増。たばこ店やコンビニエンスストアでは、カートン(10箱入り)単位でまとめ買いする姿が目立つが、10月以降の売り上げを心配する声も聞かれる。一方、禁煙グッズが人気で値上げを商機ととらえる店もあり、反応はさまざまだ。

 4年前に禁煙外来を始めた函館市昭和の亀田病院では、JT(日本たばこ産業)が値上げを発表した今年4月以降来院者が急増。5月からこれまでに26人が訪れ、このうち10人が9月から禁煙にチャレンジしている。

 「どうしてやめようと思いましたか」。29日、初診に訪れた40代女性に安田浩之副院長が問いかけた。女性は「大幅値上げを前に家族ら周囲がどんどん禁煙している。自分もこれを機会に、決心しました」ときっぱり。

 医療機関などの一般的な禁煙診療は約3カ月間で、2006年から医療保険が適用されてからは、ニコチン依存症と診断されれば、薬代込みで診療費は約2万円で済むようになった。医師による問診に加え、禁煙補助薬を使って行われるプログラムでは、体内のニコチン受容体を遮断する飲み薬「チャンピックス」の成功率が高く、来院増につながっているという。

 亀田病院での禁煙成功率は7─8割で、40―50代の市民の来院が目立つという。安田副院長は「受診者の多くが値上げに背中を押されて来るようになった。今後増える可能性がある」と話している。

 同市中道2の「道南勤医協・稜北内科小児科クリニック」でも、今年7月ごろから来院が増えてきた。これまで6割強が禁煙に成功したほか、「喫煙本数が減るという一定の効果も出ている」(同クリニック)という。初診患者には、看護師が電話で禁煙の進行具合を尋ねる試みもしている。

 同市桔梗の「えんどう桔梗こどもクリニック」は、1999年に道南で初めて禁煙外来を新設。これまで数多くの禁煙挑戦者を診てきた遠藤明院長は「禁煙に成功した人で喜ばなかった人はいない。皆『実はやめたかった』と考えている人が多い。値上げは禁煙のいいチャンス」。



 値上げ前に大量購入する「駆け込み需要」は函館市内でもピークを迎えている。

 7月下旬から予約販売を開始した、同市宮前町の「函館たばこらんどセラーズ磯」。これまで愛煙家約160人から予約が入り、売り上げは8、9月と連続で通常の2倍以上だという。同店では10月1日が迫るにつれ常連以外も来店し、大量にカートンで購入する姿が見られている。

 店長の磯雅晴さんは「駆け込み需要のおかげで本当によく売れた」と目を丸くするが、「主力のたばこ販売だけでは、これから食べていけるか心配。来月から新規商品も並べないと」と値上げ以降の売り上げ減少を心配する。

 約150種類の銘柄をそろえる、コンビニエンスストアのローソン函館中島町店。今月中旬から予約の申し込みが増え、中には30カートン(約9万円相当)を注文する人もいたという。2008年の顔写真付き成人識別カード「タスポ」導入以来、堅調な売り上げを続けていただけに、今後の売れ行きについては不安を隠せない。同店は「常連さんもたばこをやめると宣言する人もいた。入荷量を含めて、今後は考えて行かなければ」とため息をつく。

 一方で、ドラッグストアには特需をもたらした。道内や東北地方を中心に展開するツルハドラッグでは、禁煙グッズが好調だ。張り薬の「ニコレットパッチ」や、イライラを緩和する「ニコレットガム」がよく売れているといい、合わせて前年同月比で10%増となった。市内各店は「2商品を主力に今後も状況を見て入荷を増やしていきたい」と値上げをチャンスととらえ売り上げ増を目指す。

提供 - 函館新聞社


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