ドクタージェット 道南地域で初運航
update 2010/9/17 14:30
重症の患者を都市部の医療機関に救急搬送する全国初の航空機「ドクタージェット」が16日、道南地域で初めて運航した。市立函館病院(港町1)に胃の疾患で入院していた生後2カ月の男児を函館空港から札幌市の丘珠空港までドクタージェットで搬送し、同市内の道立子ども総合医療・療育センター(同市手稲区)に収容した。函館空港から同センター収容までの所要時間は39分だった。
ドクタージェットは、医学部を持つ道内3大学や救命救急センター、自治体、企業など約70団体で今年5月に立ち上げた「北海道航空医療ネットワーク研究会(HAMN=ハミン)」が運航。中日本航空(愛知県)の小型ジェット機を使用し、今月6日から10月5日まで丘珠空港を拠点に研究運航をしている。機内には複数の医師を同乗させることができ、搬送中の治療も可能。ヘリコプターが運航できない荒天時や夜間も出動できるメリットがある。
ドクタージェットの運航は、釧路―丘珠、北見―丘珠に次いで今回が3例目。乳児らを乗せた救急車は同日午前9時、函病を出発した。30分後に函館空港に到着し、搭乗手続きなどをした後、同9時57分同空港を離陸。同10時23分には丘珠空港に到着し、その後、札幌市消防本部のヘリコプターで搬送、10時36分に同センターに収容された。
機内には乳児のほかに母親と函病の小児科医、救命救急センターの専門医、同航空機専従の医師も同乗した。同研究会は「患者の引き継ぎも含めトラブルなくスムーズにできた」と述べた。
乳児は北斗市内に在住し、14日に別の医療機関の紹介で函病に入院。胃の出口部分が狭まり、ミルクなどを飲んでも嘔吐を繰り返す「肥厚性幽門狭窄(きょうさく)症」と診断された。
函病で手術は可能だったが、乳児の麻酔処置と、術後に新生児特定集中治療室(NICU)での治療ができる同センターへの搬送が望ましいと判断し、ドクタージェットを手配した。函病によると、過去に公的機関の航空機で緊急搬送したケースはあるが、民間機では初めて。
今回のドクタージェットの運航に、救命救急センターの武山佳洋センター長は「一刻を争う救急医療にとって安全で安心な搬送手段があるのは心強い」と話している。
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