イカ不漁 ふるさと小包発送延期 大衆魚なのに価格上昇
update 2010/9/3 11:00
今の時期、最盛期を迎えるはずの函館近海のスルメイカ漁が不振にあえいでいる。連日の暑さによる海水温の上昇が原因とみられ、津軽海峡に回遊するイカが激減。名物となっている生簀(いけす)イカのふるさと小包は発送を延期し、注文の受け付けを見合わせる事態となっている。市場での価格も高騰し、小売店や飲食店が頭を痛めるなど、多くの関係者が漁の回復を願っている。 ふるさと小包を扱う函館市漁協は、商品発送をスタートする予定だった1日に、発送の延期を決めた。注文済みの客に対して事情を説明し、今後の受け付けを水揚げ量が回復するまで見合わせる方針を固めた。窓口となっている市内の郵便局も注文客への電話連絡など対応に追われ、今後は文書を送って理解を求める意向。
同小包は毎年、9月上旬から10月上旬の期間限定で実施し、8月下旬から予約を受け付ける。漁船の生簀から直接水揚げした生の活イカをチルド便で直送するもので、鮮度と味で好評を得ている。
だが、今年は水温の上昇で、生簀イカが水揚げ前に死んでしまう事態が相次ぎ、同漁協は「多くの方に迷惑をかけることになるが、品質を落としてまでできない。絶対数が確保できるまで待ってほしい」とする。
こうしたイカ漁の不漁は市内の経済活動にも影響。函館市水産物地方卸売市場(豊川町27)では現在、イカを昨年同期比62円高の1キロ327円で取り引き。イトーヨーカドー函館店(美原1)ではイカ3杯を398円で販売する。昨年と価格は変わらないが、「大きさは一回り小ぶり」(同店)という。コープさっぽろ湯川店(湯川町1)でも、イカ3杯を同様の価格で店頭に並べ、「大きさにもよるが、昨年は1杯100円ほどが相場だった。価格の上昇により消費者の動きも鈍くなっている」と指摘する。
函館朝市で飲食店を営む函館朝市協同組合連合会の井上敏広理事長は「今年は例年に比べて仕入れ値が高い。だからといって販売価格を上げればお客さんは遠のく。観光客らもカニやウニに比べてイカには大衆魚のイメージがあるので、利益が出なくても売り手側が身を削るしかないのが現状」と頭を抱えている。
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