児童虐待89件 育児放棄が過去最多 函館市

update 2010/9/3 10:59


 函館市要保護児童対策協議会と道函館児童相談所がまとめた2009年度の児童虐待状況によると、通告があった函館市内の虐待件数は、同協議会の受理分が前年度比12件増の89件と、大幅に増加。調査を始めた06年度以降の最多を更新した。一方で同児相の受理件数は、同5件減の89件に。市子ども未来室は「虐待に対する認識が深まり、積極的に通報されていることの表れ」と受け止める。

 同協議会が1日に函館市役所で行なわれ、報告された。報告によると、同協議会受理分は、77件だった前年度は上回ったが、伸び率は減少した。内容は、ネグレクト(育児放棄)が最も多い53件だった。次いで身体的虐待が26件、心理的虐待は10件で、性的虐待は報告がなかった。

 情報を得た経路は、市福祉事務所が21件と最も多く、以下は保育所15件、市立函館保健所12件、学校11件、家族・親戚10件など。主な虐待者は実母が最も多い64件で、このほかは実父や養父など。すべてに経過観察の対応がとられた。

 本年度は7月末現在で29件が報告されており、09年度同期比で7件少ない。しかし同室は「このところ通報が多くなっており、年度末には09年度を上回るだろう」と推測する。

 一方、同児相が受理した函館市分の内訳は、心理的虐待が最も多い47件で、身体的虐待は31件、ネグレクトは10件。性的虐待は1件だったが、同児相は「数は少ないが表出しているものが少ないと考えられる。深刻さが大きいので、掘り下げて対応する必要がある」との考えを示した。主な虐待者は実父と養父が74%を占め“父”に集中した。

 情報を得た経路は警察などが最多。近隣知人からの通告も相当数を占めたが、同児相は「『何かあったら行政に』という姿勢には問題を感じる」として、地域のつながりのなかでも状況を確認していくことの必要性を説いた。

 渡島・桧山管内から同児相への通告件数は、前年度比27件増の180件に。函館市に次いで多かったのは、北斗市の16件。このほか七飯町9件、木古内町7件、鹿部町と八雲、せたな町が5件など。

提供 - 函館新聞社


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