「せぼね骨折センター」 函館中央病院にきょう開設

update 2010/4/1 14:25

 原発性骨粗しょう症性脊椎(せきつい)圧迫骨折に対する新治療法「バルーンカイフォプラスティ(BKP)」の普及、指導医育成の中核を担う国内初の研修施設「せぼね骨折センター」が1日、函館市本町の函館中央病院(橋本友幸院長)に開設される。2月に薬事承認を得て、今秋に保険適用となる見込みの治療法で、国内の第一人者である戸川大輔医師(42)がセンター長に就く。戸川医師は「患者負担が少ない形で痛みを止める手術を必要な時に行えるようにし、背骨の骨折による寝たきりを起こさないよう診療を進めたい」と話している。

 脊椎圧迫骨折とは、脊椎(背骨)が押しつぶされるように変形してしまう骨折で、骨粗しょう症が主な原因。最終的に寝たきりになる危険性も高いという。BKPは米国から発展し、諸外国で普及してきている治療法だが、日本ではまだ保険適用外。現在、日本ではコルセットやギプスの装着と薬による治療で安静を保つ「保存的療法」か、金属製のネジや棒で骨を固定するなどの大掛かりな手術を行う「外科的療法」が一般的だ。

 BKPは両者の中間に位置する治療法で、保存的療法を行っても痛みが改善されない一部の患者が対象。風船(バルーン)状の手術器具や医療用の充てん剤(骨セメント)を使用し、脊椎圧迫骨折でつぶれてしまった椎体を持ち上げて骨折前の元の形に戻して安定させ、痛みを和らげる。手術は全身麻酔で早ければ20―30分程度で済み、3、4日で退院可能という。

 戸川医師は1999年から5年9カ月間の米国留学で、BKPの技術を習得。日本で2005年から2年間、同病院を含む全国8病院で81人に対して行われた臨床試験の責任者も務めた。全国の整形外科医でつくるBKP研究会が指導医の育成者として戸川医師が適任とし、同病院に研修施設の設置を要請した。せぼね骨折センターは、既存の脊椎センターに付設される形で開設。同病院では保険適用が認められる秋ごろまでに体制を整え、病室、全国から研修を受けに来る医師の専用室を確保する考え。

提供 - 函館新聞社




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