津波警報に住民緊張
update 2010/3/1 09:17
「海に近寄らないで」―。チリ中部沿岸で発生した大地震のため28日、津波警報や注意報が発令された道南では、自治体や関係機関が住民に避難や注意を呼びかけた。奥尻町だけで200人を超す津波犠牲者を出した1993年の北海道南西沖地震での悪夢が脳裏をかすめ、テレビ情報にくぎ付けとなった住民も多かった。
旧4町村地区を中心に一時327人が避難した函館市。避難所のうち、最も東側の椴法華総合センターは午前9時50分ごろから開放され、集まってきた住民が津波情報を伝えるテレビに見入った。坂本文江さん(79)は「家の前がすぐ海なので怖くて避難した」。
漁業者も警戒を強めた。戸井地区の瀬田来町に住む長谷川正章さん(75)はタコ漁用の磯船を陸揚げし「油断できない」と深刻な表情で話した。汐首漁港で開かれた「お魚感謝Day」では、午前10時の開会式で主催者の戸井漁協が津波警報の発令を来場者に伝え、「買い求めた後はできるだけ早く帰って、海に近寄らないで」と呼び掛けた。
市内のベイエリアでは日曜日とあって多くの観光客が訪れたが、周辺の観光施設は万が一に備え、午後2時までに相次いで営業を終了。入り口に土のうを積む姿が見られたほか、消防や警察に促されて海岸沿いから離れる人も目立った。青森県から観光で訪れた女性(33)は「地震は知っていたが、ニュースは詳しく見ていなかった」と話し、せっかくの旅行に水を差されたことを残念がった。
北斗市の七重浜住民センターに夫とともに避難した女性(79)は「夫が病気のためすぐには逃げられないため、大事を取って避難した」と語った。
JR函館駅は列車の運休が始まった正午過ぎから、指定席の変更や翌日の列車の切符を買い求める人たちでごった返し、職員に説明を求める客も相次いだ。親族の結婚式のため訪れていた札幌市の女性(62)は「特急の時間を変更したが、キャンセルして高速バスで帰る。天災ばかりは仕方がない」とあきらめ顔で話した。
森町赤井川のグリーンピア大沼で開かれた綱引き大会では、同町の消防署員などが出場を予定していたが、警報を受けて取りやめた。
桧山沿岸の日本海では津波注意報が発令され、桧山支庁では防災担当の職員が庁舎に待機して、管内7町の情報収集に当たった。上ノ国町は全世帯に設置している防災行政無線で注意を呼び掛けた。江差町では町の防災スピーカーで「今後の情報に注意してください」との放送をした。
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。