観測船高風丸が最後の航海終え、帰港

update 2010/2/18 14:26

 気象庁の観測体制の見直しに伴い、3月末で廃止される函館海洋気象台の観測船「高風(こうふう)丸」(487トン)が17日、最後の航海を終え、母港・函館に帰港した。岸壁では長年の“航跡”をねぎらう記念式典も行われ、前身から数え60年続いた道内唯一の観測船の歴史に幕を閉じた。

 高風丸は全国に5隻ある観測船の一つで、1949年に配備された「夕汐丸」が前身。88年に就役した現在の高風丸の総航行距離は約48万6000キロで、地球を12周以上した計算になる。最後の航海は1月19日に函館を出港し、約1カ月間、道東沖や三陸沖で海上や海中の気象調査を担ってきた。

 船とともに3月末で引退する加村正巳船長(60)は「冬型の気圧配置で多難な航海だったが、乗組員全員で頑張って乗り切った。観測目的を100%達成でき、有終の美を飾れた」とほっとした表情。「船には長い間ご苦労さんとありがとうの一言。360度見渡せる水平線は忘れない」と42年間の船乗り人生を振り返った。

 式典で湯田憲一同気象台長が「北日本海域の気象観測に貢献した高風丸が函館から姿を消すのは非常にさみしい。社会情勢の流れだが、観測データは今後も貴重な資料としてずっと残る」と式辞を述べた後、新年度から本庁に異動する高風丸の乗組員から定年退職する加村船長ら4人に花束が贈られた。

 最後の雄姿を見納めに来た同気象台OBの岡村敏夫さん(64)=七飯町在住=は「10年以上前の在職当時と変わらず、手入れが行き届いた船はまだまだ活躍できそう」。観測員として最後の航海に参加した同気象台海洋課の中村辰男さんは「南極観測船しらせの乗船経験もあるが、高風丸の乗組員の情熱や操船技術はそれ以上」とたたえた。

 高風丸は今後、民間や海外などに売却される予定だが、引き取り先はまだ決まっていない。

提供 - 函館新聞社




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