上ノ国町大崎−木ノ子の海岸線は一進一退

update 2010/2/16 13:19

 【上ノ国】上ノ国町の海岸線では、冬季の激しい波浪で砂浜の浸食が続いている。大崎から木ノ子にかけての海岸では2007年、美しい砂浜が完全に消滅し、波打ち際では岩盤が露出する無残な姿をさらしていた。だが、砂浜は自然の治癒力で少しずつ回復し続けている。

 大崎から木ノ子の海岸線は、波打ち際が優美なカーブを描き、歴史小説家の壇一雄も絶賛した。しかし、07年の冬には、日本海沿岸は台風並みの威力がある“爆弾低気圧”が何度も通過。海沿いの町は連日のように猛烈な波浪に見舞われた。

 春になると美しい砂浜は姿を消し、地表の下に隠れていた岩盤がむき出しに。波打ち際は20メートル以上も陸側に後退した。砂浜の変わりように町や桧山支庁は、違法な砂利盗掘を疑ったほどだ。浸食は海岸沿いの国道に及び、今でも路肩の崩壊を防ぐために防災工事が続いている。

 その後も、海岸線は無残な姿をさらしていたが、この数年は猛烈な低気圧の襲来もなく、海中に没した玉砂利が少しずつ海岸線に打ち寄せ、かつての砂浜がよみがえりつつある。たが、地元関係者は「砂浜は数十年前は何倍も広かった。今でも風前の灯という状態」とし、やせ細る海岸を悲しい思いでみつめる。

 日本海沿岸では、海水温の上昇により、真冬の代名詞だったスケトウダラが激減。真夏が漁の最盛期だったスルメイカも、秋以降の来遊が増えるなど、海洋環境が大きく変化。桧山管内の各地でかつての美しい砂浜が消滅している。波浪と砂浜が繰り広げる一進一退の攻防は、大自然からの警鐘なのかも知れない。

提供 - 函館新聞社




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