名芝居に涙と笑い 「初春巴港賑」

update 2010/2/15 23:57

 道南の各界名士が歌舞伎を演じる「初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)」第32回公演(実行委、函館市文化・スポーツ振興財団主催)が14日、函館市民会館で開かれた。人情味あふれる浄瑠璃や、せりふの名調子で歌舞伎を熱演。1200人の観客は盛んに声援を送り、名芝居に涙した。

 1970年に同会館が開館したのを機に、73年から開かれている。始めに口上が行われ、市教委の橋田恭一教育委員長が「函館の子育てや、安心安全のための人づくりは教育委員会にお任せ下さい」。日本中央競馬会(JRA)函館競馬場の木下勇二場長は6月にリニューアルオープンする同競馬場について「レンガや緑を使い、リゾート地のようにゆったり過ごせる。函館に多くの人が来てもらえるように、私どもも頑張る」と述べた。

 続いて「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」から「引窓」が演じられた。実の親子と義理の親子の善意と苦悩の名演技に目頭を押さえる観客が見られた。恒例の「白浪五人男」は衣装やせりふのハプニングがあったものの、立ち回りが決まると拍手喝さいだった。

 最後は「河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)=天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)」。正体を見破られた数奇屋坊主・河内山の開き直ったせりふの名調子や、ユーモアを取り入れた展開に会場はどっと沸いた。

 来場した市内本通の会社社長、薮下明さん(61)は「素人とは思えないほど上手。しなやかなやり取りで夢中になり、感動した」。演出を担当した市川団四郎さん(70)は「しっかりした演技のおかげで客は喜んだ。演出担当としてうれしい限り」と話していた。

提供 - 函館新聞社




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