桧山古事の森を提唱…立松和平さん死去 管内でも惜しむ声
update 2010/2/11 12:42
【江差】環境保護や森づくりの活動で知られる作家の立松和平さんが8日に死去した。62歳だった。2003年から立松さんの提唱による「桧山古事の森」を舞台とする植樹動がスタートするなど大きな足跡を残した江差町でも、突然の悲報に地元関係者からも惜しむ声が上がっている。
立松さんが提唱した「古事の森」は、ヒノキ、ケヤキ、クスノキなどの大径木を、数百年の長い年月をかけて“不伐の森”として、住民の手で守り育てながら、城郭や神社仏閣などの文化財の修復に必要な木材の備蓄を進めるもの。林野庁を中心に京都の鞍馬山、奈良の春日山、和歌山の高野山など全国で取り組みを広げている。
未来のヒノキアスナロ(ヒバ)資源の確保を目指して03年11月には、江差町内の椴川国有林のうち約5ヘクタールが全国3番目の「古事の森」に指定され、植樹活動をスタートした。05年10月の植樹会には、生みの親である立松さんも初参加。子供たちと一緒に苗木約200本を植えた。立松さんは「住民の思いをつなげて苗木を植え続けほしい」と呼び掛けた。
町内で森づくり活動に取り組み、古事の森の育成にも携わる坂野正義さん(74)は「突然の悲報に驚いた。なんと言って良いのか。江差にも足を運んでもらい立派に成長している苗木の姿を見て欲しかった」とショックを隠さない。
また、桧山管内の文化財関係者は「神社や寺院など文化財の修復に活用できる直径の大きいヒバ材はほとんど残っていない。文化財の修復を輸入材に頼り切ることになれば、建物の歴史や趣を塗り替えることになってしまう。立松さんの古事の森構想は未来の住民に必ず感謝されるだろう」と語った。
町内外の植樹活動に生かしてもらおうと、ヒバの苗木作りなど精力的な活動を続ける坂野さんは「立松さんの遺志を継いで『古事の森』を大事に育てていきたい。桧山の語源にもなった立派なヒバ森が復活することを信じている」と心に誓った。
提供 - 函館新聞社
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