夢の実現目指す主婦と再就職へ介護学ぶ58歳奮闘中
update 2010/2/5 10:59
厳しい雇用情勢が続く中、主婦や会社員を経験してから学び直す「社会人学生」が夢の実現や再就職に向け、資格取得や技術向上に励んでいる。函館短大保育学科の関根麻里さん(27)、函館臨床福祉専門学校に通う佐藤好男さん(58)もそうした学生の1人だ。目的意識が明確なため学習意欲も高く、現役学生にも良い影響を与えていると学校側もエールを送っている。
関根さんは函館東高を卒業後、事務職として働いた。20歳で結婚し、2児の母親に。保育士へのあこがれは以前からあったが、ピアノも弾けずあきらめていたという。しかし子育てで子どもの発想力に感動し、再びその夢への思いが再燃。夫や母の後押しもあり、昨年4月に入学した。
現在、子どもを保育園に預けながら通学し、家事と育児、学業の両立に励む。「年下の同級生と慣れるのに時間が掛かった」というが、今はすっかりなじみ、キャンパスライフを楽しんでいる。「自分のために学ぶ実感があるから授業が楽しい。『受け身』だった高校時代より勉強している」と笑顔を見せる。
函館短大で児童福祉を担当する専任講師の新沼英明さん(33)は「子育て中の母親と接するのは現役の学生にも良い刺激。関根さんも相当努力している」と応援する。 一方、佐藤さんは函館商業高卒業後、18歳で自動車整備の仕事に就いた。大工を志した時期もあったがけがで断念し、整備士としてその後19年間勤め続けた。ところが2008年12月、勤務先の個人経営の自動車関連会社が経営難で倒産。ハローワークのあっせんで道立函館高等技専の介護福祉科1期生となり、訓練委託先の函館臨床福祉専門学校に昨年4月から通い始めた。
数年前から「定年後は福祉の道に」と考えていたものの、60歳間近の転身を家族は心配した。入学後はボランティアにも積極的に参加し、休暇中は施設に出向いて自主的に実習する前向きな姿勢は周囲を驚かせたという。「今まで知らなかった障害者の世界に触れ、何か協力したいと強く感じる。卒業後は良い施設で働きたい」と目を輝かせる。
新沼さんも社会人学生を経て現職になった。市役所勤務の傍ら大学院の夜間部に通った経験から「社会人学生の課題は経済的負担と時間」とし、「学費以外にもお金が掛かるし、働きながら通うと体力的にきつい。柔軟に対応できる制度があれば」と話している。
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市内では社会人向けの入学制度や措置を設ける機関もある。函館短大は「社会人ゆっくり修学制度」として最長6年間在学できる長期履修制度があり、函館高等技専の求職者向け介護福祉科の2期生も3月に募集する予定。多くの専門学校や大学、短大では、1つの学年に数人の社会人学生が在籍している。
提供 - 函館新聞社
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