高速無料化道南見送り 観光業界「期待外れ」
update 2010/2/4 18:45
高速道路の無料化が6月をめどに道内4路線5区間で実施される。だが、道縦貫自動車道(道央道)の道南と札幌方面を結ぶ区間は見送られ、函館の観光業界からは「期待外れ」の声も上がっている。競合するJRや都市間バス会社などは無料化拡大による客離れへの危機感を強めるが、物流業界には冷めた見方もあり、関係者の反応は複雑に交錯している。
「今年は函館競馬場や箱館奉行所の完成など観光客誘致の起爆剤があっただけに残念。札幌圏から道東や旭川方面に客が流れてしまう」。函館湯の川温泉旅館協同組合は不安を隠せない。昨年夏以降、ETC効果で従来少なかった関東圏の利用客など一定の需要を確保できただけにため息も交じる。
昨年10月、落部IC(インターチェンジ)の開通で道央道に隣接した八雲町の噴火湾パノラマパークは「冬場にもかかわらず、来園者は前年の4、5割増し」(同町公園緑地推進室)と高速効果を実感する。「無料になれば園内を経由して上下線を横断することもできた。期待はあったが、同時にソフト面も充実しなければ」と話し、地元農産物の販売など新たな魅力づくりに力を入れている。
JRや高速バスには警戒感がにじむ。JR北海道は「無料化区間の段階的な拡大や料金体系の変更も検討されており、今後の動向に懸念を持っている」(広報部)。函館―札幌間の都市間高速バスを運行する北都交通函館支店も「無料化で運賃を安くできるメリットもある。週末割引でマイカーに流れた客足をどこまで取り戻せるか…」と不安げだ。
函館の運輸業者の見方は冷ややかだ。札樽自動車運輸函館支店は「札幌までの直線距離では高速を使う方が50〜60キロ遠くなり、一般道を使った場合の時間と大差はない。定時出発の物流では現在も使っていない会社が多く、無料化になっても使うかどうか」と静観する。
函館市内の会社経営の男性(51)は「道内はすべて無料化され、バスや飛行機とも競争することで経済効果が生まれるはず。部分的な無料化にはがっかり」ときっぱり。「環境に配慮するならハイブリッドカーなどへの割引があってもいいのでは」と話していた。
提供 - 函館新聞社
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