コープ誘致候補地に江差中 財政面のハードル高く

update 2010/2/2 09:43

 【江差】旭友ストアー江差店(茂尻町)の閉店に伴う、コープさっぽろの店舗誘致をめぐり、町や町議会では江差中学校(陣屋町)が誘致先の候補地として浮上している。しかし、学校移転や用地整備に伴う負担は、道半ばの状態にある町の財政再建に与える影響が大きく、ハードルは極めて高い状態にある。

 コープは、21日に閉店する旭友周辺で、最低2000坪(6600平方メートル)の用地確保を条件に新規出店を検討する方針。だが、住宅や団地が密集する周辺地域で80メートル四方(6400平方メートル)を超える用地確保は難しい状態。このため町や町議会では、店舗に近い江差中学校(陣屋町)が候補地の一つに浮上している。

 だが、用地確保に伴う出費は、新たな重荷となって町財政にのし掛かることが避けられない。多額の借金を抱える町は本年度、自治体財政健全化法に基づく早期健全化団体に指定された。自治体財政の“黄色信号”に当たり、町は2012年度の指定返上に向けて、年度内に財政健全化計画を策定しなければならない。

 08年度現在、町が抱える一般会計の起債(借金)は88億3901万円。基金(貯金)は6億8872万円に過ぎない。「新たに億単位の借金を抱え込めば、夕張市と同じく国の管理下に入る『財政再生団体』に転落する恐れも否定できない」(道関係者)。

 校舎の老朽化が進む江差中については2007年9月、現在地での校舎改修と、道教委が無償譲渡を打診していた旧江差南高校への移転をめぐり町内世論が二分。濱谷一治町長は、数億円規模の改修費が必要な江差南高への移転を断念。町の財政状況を考慮しながら校舎改修の時期を決める方針を示した。道教委は旧江差南高の売却先を募集したが買い手は無く「予算メドが付けば解体したい」とする。既に2006年3月の閉校から約4年が経過し、校舎の老朽化が進んでいる現状という。

 一方、高齢化が急速に進む町内では、後継者がおらず将来展望が無い商店の休廃業も相次いでいる。消費者の間では「このままでは町内の店が消えてしまう」との不安感も広がる。町議会はコープ出店問題に関する特別委員会を設置する方針だが、町財政、商店街振興、住民生活という3つの視点に立ち、町の将来像を指し示す青写真を描き上げることができるのかが試される。地に足を着けた議論が必要だ。

提供 - 函館新聞社




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