「ふるさと基金」廃止へ 桧山7町と道

update 2010/1/25 12:06

 【江差】桧山広域行政組合(理事長・濱谷一治江差町長)を構成する管内7町と道が資金を積み立て、運用利息などで地域振興に関する事業を進めてきた「桧山ふるさと市町村圏基金」が、年度内をめどに廃止されることが決まった。基金廃止に伴い、事業を実施している。同組合の組織体制の見直しや、江差町を中心とする派遣職員の取り扱いといった課題も浮上。今後は管内7町による協議が本格化しそうだ。

 基金設置などの根拠としてきた、国の「ふるさと市町村圏推進要綱」が、昨年3月31日に廃止されたことに伴い、道は出資分の1億円について返還を要請。このため管内7町も基金の廃止について合意した。残額は各町に返還する。基金は道と管内10町(当時)の出資で発足した。08年度の残高は9億1957万円。だが、低金利の長期化を背景に、運用益が落ち込んでいる現状から、国は基金を取り崩し可能とするなど運用基準を緩和。北桧山、瀬棚、大成の3町合併で発足したせたな町が、旧2町分の出資取り崩しを要請。経営難で解散した7町の第3セクター・桧山物産公社(江差町)の負債整理などに充当するほか、各町が一般会計に充当する目的で、同年度には7町合計で3億887万円を取り崩しており、道出資分を含む現在の残高は6億1070万円となった。

 7町の一部事務組合である、同組合の主な事務は@広域市町村圏計画Aふるさと市町村圏基金B消防に関する事務―からなる。組織体制は7町の消防署を統括する消防本部と、総務、財政、地域振興の3係からなり、基金運用や地域振興に関する事務を行う総務企画課がある。

 組合職員は江差町を中心とする派遣職員で構成しているが、基金廃止や旧要綱に基づく「ふるさと市町村圏」の廃止に伴い、消防を除く多くの事務が廃止の対象となるため、大幅な組織体制の見直しが課題となる。構成町からは「行政組合そのものを解散して組織体制を見直すべき」との声もある。

 一方、派遣職員の人件費は組合が負担しているが、複数の職員を派遣している江差町は本年度、自治体財政健全化法に基づく早期健全化団体に指定されるなど、深刻な財政難に陥っている。こうした中で課長級を含む、複数の職員の派遣を一斉に取りやめた場合には「町の人件費負担が急激に増加する。財政健全化への影響は避けられない」(町幹部)として、他の6町に柔軟な対応を求めている。組合発足当時は、役場の規模が大きい江差町に、職員派遣を依存していた背景もあるため、他の構成町は「江差町の財政事情や職員採用の動向を見極めながら、新年度以降の組織機構について議論したい」(ある町長)と話す。基金廃止や組織体制の見直しには、管内7町議会による規約変更の議決が必要となり、同組合は年度内をめどに構成町による協議を進める方針だ。

提供 - 函館新聞社




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