大動脈手術 新手法で成功 函病、国内で報告例のなし

update 2010/1/20 10:27

 市立函館病院の心臓血管外科科長の森下清文医師は、国内でこれまでに正式な報告例がない、腹腔(ふくくう)鏡を使用した腹部大動脈瘤(りゅう)周辺の手術に成功した。森下医師は「これまでの手法に比べ手術時間が少なく技術的にも容易」とし、5月以降に学会で発表するなどしてこの方法を伝える考え。

 腹部大動脈瘤は、心臓から出た大動脈の、へそ付近で左右の足に分かれる直前が膨らみ血管壁が薄くなる状況で、放置すると破裂の危険がある。2007年ごろから普及してきた治療法では、足の付け根付近から血管内部にワイヤを通し、これに付けて患部に送り込んだ逆Y字型の人工血管「ステントグラフト」を開いて血管内部に密着させ、新たな血管とする。森下医師によると、現在では腹部大動脈瘤手術の約半数が、この方法で行われているという。

 しかし手術した患者のうちおよそ1%の割合で、血流がなくなった瘤の部分に新たな血管がつながり、再度破裂の危険が発生する場合がある。同院では08年秋にこのような患者がいることが分かったが、国内で主に行われる金属製の「コイル」を新たな血管に入れて閉塞(へいそく)させる方法では時間がかかったり、完全でない例もあるため、別の手術方法を探っていた。

 森下医師は、胆石の手術などで一般的に使われる腹腔鏡を用いた方法に着目。昨年11月に問題の血管と瘤を切断する手術を行い成功したが、この方法が国内では報告例がなかった。森下医師は「実際に目で見て手術を進めるので確実。心臓血管外科の分野では思いもよらなかった方法で、他の医師にも伝えたい」と話す。

 ステントグラフトを用いた手術を広めた札幌医大の栗本義彦准教授は「今回のような手術が適用できるかは新たな血管ができた場所による」としながらも、「安全で短時間に手術できるのは患者の負担軽減となる」と評価する。

提供 - 函館新聞社




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