函館海洋気象台の観測船「高風丸」最後の出航
update 2010/1/20 10:25
3月末で廃止される函館海洋気象台の観測船「高風(こうふう)丸」(487トン)が19日、函館港西埠頭(ふとう)から最後の航海に出た。29日間の定期気象観測で、岸壁には60年余りの歴史に幕を閉じる“海の気象台”の最後の雄姿を目に焼き付けようと、乗組員の家族やOBらが見送った。
高風丸は全国に5隻ある海洋気象観測船の一つで、天気予報などに必要なデータを得るため、季節ごとに年4回(計170日間)、北海道や三陸沖などで観測航海を行っている。気象庁は昨年末、衛星技術の向上や大型船への業務集約化のため、年度内で高風丸を含む3隻の引退を決めた。
今回は船員22人と観測員7人が乗り組み、海中の水温や塩分、海上の気圧などを調査するほか、漂流型の「ブイロボット」を使って波の高さなども計測する。今回は塩釜港(宮城県)などを経由する約4700キロの行程で、2月17日に函館に帰港する予定。
この日は乗組員が入念に搭載機材を確認し、午後2時ごろ、釧路・根室沖に向けて出港。定年のため今回の航海で引退する加村正巳船長の妻里子さん(55)は「きょうは特別な思い。とにかく最後まで無事で帰ってきてほしい」と話し、娘や孫と一緒に手を振った。
岸壁で見守った高風丸の元船長、早瀬孝重さん(69)は「冬場はしけで大変だった記憶がよみがえる。戻ってくるときも出迎えたい」と感慨深げ。同気象台元幹部の男性(67)は「海洋気象データは即効性はないが、長年の地道な蓄積が肝要。観測船の廃止は気象台から手足が奪われるようなもの」と残念がった。
提供 - 函館新聞社
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