函館海洋気象台 観測船「高風丸」3月末で引退
update 2010/1/14 12:02
函館海洋気象台(函館市美原3)の海洋気象観測船「高風(こうふう)丸」(487トン)が、今年3月末で廃止されることが決まった。気象庁の衛星技術の向上や大型船への業務集約化のためで、前身から数え60年以上にわたり北の海の気象観測を担ってきた道内唯一の観測船が母港・函館から姿を消す。
高風丸は、1949年10月に函館海洋気象台に配備された「夕汐丸」が前身。63年3月には初代高風丸が就役し、現在2代目の船は88年7月から活躍している。主に道内や東北周辺の太平洋海域で年間170日間、水温や塩分、親潮などの海流データを収集してきた。
これまでの総航行距離は約47万7800キロに及び、地球を12周以上した計算になる。四季ごとの年4回の航海はそれぞれ40―45日ほど。特に冬場はほかの気象台の観測海域に比べ気象条件が厳しく、加村正巳船長(60)は「船首が数十センチの着氷まみれになることも」と話す。
気象庁によると、3月末で引退するのは高風丸のほか、舞鶴海洋気象台の清風丸(484トン)と、長崎海洋気象台の長風丸(480トン)の計3隻。神戸海洋気象台の啓風丸(1483トン)を本庁に配置換えし、本庁所属の凌風丸(1380トン)とともに大型船の2隻体制とする。
近年は気象衛星や「中層フロート」と呼ばれる自動観測装置などで、船なしでも海洋の詳細なデータを把握できるようになった。同庁地球環境業務課は「深刻な温暖化問題に対応するにはより広域な調査が必要。最新機器を搭載した大型船を効率的に稼働させることで、観測体制を強化したい」としている。高風丸は他省庁へ移管されるか、売却される見通し。
2004年から7代目となる加村船長も定年を迎え、高風丸とともに3月末で退役する。加村船長は「時代の流れとはいえ、廃止されるのはさみしい。船内外の手入れが行き届いていてまだまだ活躍できそう」と残念がる。今月19日から2月17日まで最後の航海に出発し、「最後まで無事故で終えてから、船にご苦労さんと言いたい」と気を引き締める。
提供 - 函館新聞社
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