今春にもアイヌ協会函館支部誕生へ
update 2010/1/4 14:59
北海道に居住するアイヌ民族の組織、社団法人「北海道アイヌ協会」の函館支部が今春にも設立される見通しとなった。発起人である函館市湯川町の加藤敬人さん(55)は「函館在住のアイヌの人たちが一人でも多く名乗りを上げ、活動に協力してほしい」と賛同を呼びかけている。
北海道アイヌ協会には現在、道内各地に48支部があり、会員総数は約3500人。しかし函館にはこれまで支部がなく、アイヌ文化を伝承する活動も活発に行われてこなかったという。
今回、函館支部の設立に立ち上がった加藤さんは、アイヌ民族であることが発覚したため離婚された母親の下で育ち、さまざまな差別と闘ってきた。昨年9月に居酒屋を経営するために小樽から函館に移住。道内でももっとも早くからアイヌと和人との交流が行われてきたはずの函館で、アイヌの文化がほとんど伝承されていないことに驚き、有志とともにアイヌ協会函館支部を立ち上げることを決意したという。
加藤さんは「アイヌの地位向上のためには、アイヌの人たちが自らが行動しなければいけない。差別や偏見を恐れてカミングアウトをためらっている人も多いと思うが、ぜひこの機会に名乗りを上げてほしい」と訴える。
支部ができることで、アイヌ独自の伝統文化の周知活動にも力を入れることができ、刺しゅうや彫刻、歌や踊りなどを道南観光にも活用していけないかと考える。「例えば夏の港まつりで、アイヌ刺しゅうの法被を着てアイヌの音楽に合わせてパレードすれば、市民や観光客にもアイヌ文化の素晴らしさをアピールできる。このようにアイヌの人たちとアイヌ以外の人たちが一体になってできる活動を展開していきたい」と夢は広がる。
3月に行われる北海道アイヌ協会の総会で承認されれば函館支部が正式に発足するが、現在参加を表明している人はまだ数人しかいないという。加藤さんは「これまで自分がアイヌであることを明らかにしていなかった人も、この機会に勇気を持って手を上げてほしい。アイヌ以外の人も支部の活動を支援してほしい」と協力を呼びかけている。
北海道アイヌ協会函館支部への問い合わせは、加藤さんまでTEL090・1389・8455。
提供 - 函館新聞社
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