民主政権誕生、どう付き合う? 首長や経済界に期待と戸惑い

update 2009/9/13 09:54

 民主党と社民党、国民新党による連立政権の誕生が秒読み段階に入った。これまで北海道新幹線の建設問題など、自民党や中央省庁への陳情を重ねてきた道南の首長や経済界関係者は、脱・官僚政治を標ぼうする民主党への期待とともに、戸惑いの表情も浮かべる。与党の代議士となる逢坂誠二衆院議員との関係構築を模索し始める一方、野党に転落した自民党との関係もおろそかにできない―というのが心情のようだ。

 函館市の西尾正範市長は、民主党政権の誕生について「今まで与党、野党というとらえ方はしていないし。これまで通りのスタンスは変えない」と、ケースバイケースでの対応を強調。逢坂氏に対しては「与党議員であり、パイプの構築を積極的に進めていきたい。若くてバイタリティーもあるので期待している」と話す。

 一方で、道新幹線の建設促進や札幌延伸問題に関し、これまで道内選出の自民党議員や与党の整備新幹線建設促進プロジェクトチームを中心に陳情してきた経緯もある。同市長は「これまでお世話になっていた議員に陳情しないということにはならない」とも話し、関係維持に努める考えを示している。

 七飯町の中宮安一町長は、民主党が掲げる政治家主導の政権運営に対し、「期成会などの場に政治家が足を運び、地域の声を中央に届けてもらうような仕組みに変えてほしい」と期待の声を寄せる。

 同町長によると、07年には新幹線問題で年12回の陳情を重ねたといい、「自民党の議員には力になってもらった。砂をかけるわけにはいかない」とも話し、“等距離外交”に努める考えだ。

 北斗市の海老沢順三市長は3日の定例市議会で「民主党は官僚政治を否定している。逢坂氏に苦労をかけることになるので、個人的にものを頼むことはない」と述べ、波紋を広げた。

 同市長は「恒常的、形式的な陳情は民主党の方針に反することになる。逢坂氏には個人的付き合いの中で地域の実態を説明する」。陳情を行う場合は自身が会長を務める渡島総合開発期成会の枠組みを使い、「内閣に新設される国家戦略局に行くことになるだろう」と話す。

 地元経済界は、新幹線の札幌延伸を懸案として抱える中での政権交代。函館商工会議所の古川雅章専務理事は、当面は新政権の推移を見守る検討段階と断った上で「伝えるべき地域経済への要望はきちんと伝えなければ。自民党が予算権を握っていないからといって、手のひらを返すようなことはできない」と複雑な胸中を明かす。

 さらに新政権発足後、いつ“再政権交代”が起こるとも限らず、「自治体や関係機関と連携しながら、おそらくは自民、民主両方にお願いに上がると思う。ただ、長年付き合いのあった自民党に対し、民主党とは幹部のパイプがない…」と頭を痛めている。

提供 - 函館新聞社




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