北海道新幹線 財源面理解も強い危機感…当初予算見送りで関係自治体
update 2009/12/7 09:42
前原誠司国土交通相が11月、北海道新幹線の札幌―長万部間など整備新幹線未着工区間について、来年度当初予算での着工をするかどうかの判断を先送りする考えを示した。事実上、来年度の着工は見送りとなる公算が強まったが、道南の関係自治体は財源面での問題を認識しながらも、「札幌に延伸してこそ新幹線の効果がある」として、政府への働きかけを行っていく考えだ。
前政権が昨年末にまとめた、政府・与党合意は道新幹線の札幌―長万部間など未着工の3区間について、本年度中の部分着工を認可する方向性を示した。札幌―長万部間は「スーパー特急」として建設費用を圧縮し、財源に充てることを検討する―としていた。
しかし、前原氏は「凍結イコール白紙ではない」としながらも、整備新幹線全体の必要性を検討する考えを表明している。
新函館駅(仮称)の建設を進める北斗市の海老沢順三市長は「人や物流の交流が盛んになることで道南にも波及効果はある」として札幌延伸に賛意を示している。ただ、終着駅効果の期待や、延伸によるストロー現象を懸念する声もあり、合意形成にまで至っていない。
一方、函館総合車両基地(仮称)の整備が進む七飯町は「基地の存在意義がなくなる」として、今回の凍結方針に危機感を強める。総合車両基地は車両開発や検査など専門的な管理を行う。札幌まで延伸しないのであれば、基地の機能強化は必要なくなる。町新幹線対策課は「受け入れる車両の数、張り付く従業員の数も限定され、町や周辺の経済効果も期待はできない」と危ぶむ。中宮安一町長は「札幌延伸によって北海道経済の活性化につながると提言していく。どんな努力をしてでも延伸を訴えたい」と話している。
また、函館市新幹線対策室は「1兆5000億円にも上る国家事業であり、昨今の経済事情を考えれば致し方ない部分はある」と一定の理解を示すものの「札幌まで通すことが最終形で、必要性は認められていると思う。札幌市や建設促進関係自治体連絡協議会(会長・上田文雄札幌市長)と足並みをそろえて対応していきたい」と話す。大森伊佐緒木古内町長も「政府の動きを見守るよりほかないが、これまで通り粘り強く要請活動を続けていく」とコメントしている。
提供 - 函館新聞社
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