営業再開に市民の力…市営熱帯植物園

update 2009/12/6 16:07

 師走に入り、寒さが増す中で、函館市営熱帯植物園(湯川町3)は例年にない“温かさ”に包まれている。先の強風で温室ガラスの一部が割れたが「住民の憩いの場を守りたい」と多くの市民ボランティアが復旧作業に駆けつけた。早期営業再開の原動力となり、関係者は「災難に見舞われたが、人のぬくもり、支え合う精神の大切さを感じた」と感謝の言葉を口にしている。

 11月15日夜の荒天で、温室東側の壁面ガラス約70枚(1枚、縦80×横60センチ)がめくれるように割れた。ホタルが生息する一角に潮風が吹きつけたが、真水で一帯を洗浄するなど迅速な対応で植物には目立った被害はなく、けが人もいなかった。

 16日から臨時休園の措置を取り、壊れた壁面の修理に入った。その様子がテレビや新聞で報じられると、「大丈夫ですか? 何か手伝えることがあれば出向きたい」と市民から問い合わせが相次いだという。

 20日の作業には、市民有志13人が駆けつけた。施設を管理する市水道局と、運営するNPO法人函館エコロジークラブのメンバーらを合わせ、総勢35人で早朝から夕方まで作業。細かなガラス片をピンセットやはしで丁寧に拾い集めた。芝生をかき分けながら集中しての作業で、これが功を奏し、21日の営業再開となった。

 同クラブの坂井正治さんは「大変な作業でしたが、皆さんが一生懸命手伝ってくれたことがうれしい。本当にありがたくて、感謝ばかりです」と話す。

 12月1日には、冬恒例のサル山温泉が登場した。気持ち良さそうに湯船につかる姿が、来場者の笑顔を誘っている。坂井さんらも目を細め、「今後も地域に親しまれる植物園であるよう頑張ろう。温室のぬくもりを来場者の心にも伝えられれば」と日々業務に取り組む。

 営業は午前9時半―午後4時半。問い合わせは同園TEL0138・57・7833。

提供 - 函館新聞社




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