インサイド 函館土現再編…桧山の建設業界に不安も
update 2009/12/1 15:34
【江差】道の支庁制度改革に伴い来年4月、函館土木現業所は「渡島総合振興局建設部」に再編される。現在は渡島支庁の出先機関だが、再編後は総合振興局の内部部局に吸収され、総合振興局長が一元的に渡島・桧山両管内の土木行政を取り仕切ることになる。これに対して桧山管内の建設業界などからは「予算編成も渡島・桧山で一本化されれば、桧山管内ではさらなる公共工事の削減につながる恐れがある」との懸念の声も上がっている。
道建設部の出先機関として、渡島・桧山の土木行政を担ってきた函館土現―。2004年度の支庁機構改革で渡島支庁の出先機関になった。この際、管内の社会資本整備に桧山支庁長の権限が及ばなくなることを檜山支庁管内町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)が問題視。担当副知事などを交えた協議では、函館土現所長が桧山支庁参与を兼務するほか、桧山支庁地域振興部にも社会資本整備の担当主幹を配置することでようやく決着した。
ところが、来年4月の支庁制度改革に伴い、道は渡島総合振興局の一部局として函館土現を吸収する方針を打ち出したことで問題が再燃している。全道10カ所の土木現業所が取り扱う事務を「広域事務」に位置付け、総合振興局長に振興局管内の土木行政を一元的に所管させることにした。
道は支庁再編後、土木行政を担当する渡島総合振興局次長に、桧山振興局参与を兼務させることで、制度上の整合性を取る。現在の函館土現江差出張所も存続させる方針を示しているが、江差町は「桧山振興局長は渡島総合振興局長と同格の本庁部長級のはず。今後は地元の振興局長を飛び越えて総合振興局長に要望を行わなければならなくなる。これでは14支庁を同格に戻した再編条例改正の意味がない。典型的な二重行政ではないのか」と反発を強める。
また、道の農政部や水産林務部が所管する、農業・水産・林務部門の工事発注などの事務は、桧山振興局にも残すが、土木行政をめぐる予算執行の在り方について道から明確な説明が無いことも桧山側をいら立たせる原因になっている。
桧山管内の建設業界からは「予算枠も渡島と一本化されるのか」「桧山枠として確保していた予算は担保されるのか」との懸念の声が聞かれる。ある建設業者は「これまでは桧山という枠の中で優先順位を決めて予算付けを進めた。道南全体の中で優先度を決めるようになれば、人口や交通量が少ない桧山管内の道路整備や防災工事などの懸案事項は後回しにされる」として、道の財政難に追い打ちを掛ける形で、支庁再編がさらなる公共工事削減の引き金になる可能性を懸念する。
一方、これまでは自民党支持を前面に打ち出してきた、桧山管内の建設業界だが「選挙で高橋知事を支援したのに支庁再編ではひどい仕打ちを受けた」「民主党ににらまれたら仕事ができない。次の知事選では対応を考えたい」との恨み節も聞かれる。衆院選大敗北の痛手から立ち直ることができない自民党関係者は「建設業界の自民離れに歯止めを掛けることができない。このままでは管内の自民党が破滅してしまう」と、支庁再編をめぐる混乱長期化に焦燥感を募らせている。
提供 - 函館新聞社
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