函館など12市が予算確保求め緊急共同声明…知的クラスター事業「廃止」

update 2009/11/27 16:13

 道と函館市が本年度採択された知的クラスター創成事業を含む「地域科学技術振興・産学官連携事業」を、政府の行政刷新会議が事業仕分けで「廃止」と判定したことに関し、函館市の西尾正範市長は26日に開いた緊急会見で、同事業の予算確保を求める緊急共同声明を発表した。函館市が世話役となり、札幌や帯広、京都など同事業に関係する全国12市長の連名によるもので、同市長は「地域の声を束ね、中央に発信することが必要」と述べた。

 緊急共同声明は今月20日、高橋はるみ知事ら全国7道府県知事が連名で共同声明を出したことに呼応。上田文雄札幌市長、砂川敏文帯広市長と連携する中で市が世話役となり、関係12市に呼びかけて行った。

 声明では科学技術の振興について「我が国の高い技術力を維持し、地域の振興発展を図るために必要不可欠な取り組み」と主張。事業仕分けの廃止判定を「長年にわたる地方の努力を無にする行為で、国と地方の信義・信頼関係をも大きく損ねる」と指摘している。

 同市長は緊急会見で、知的クラスター事業が廃止となった場合の影響として「40人超の研究者を採用し、事業が動いている。大学や研究機関の知的ノウハウを生かしたまちづくりを大きく削ぐことになる」と説明。また中核機関の函館地域産業振興財団が雇用した約20人について、備前悟経済部長は「3月までの雇用は確保できているが、仕分け作業の影響でそれ以降は未定」と話した。

 予算確保に向けた今後の取り組みについて、同市長は「各自治体がそれぞれに議会を控えている。個別や圏域などで、民主党や文部科学省に働きかけたい。年内中に1回は行きたい」と述べ、12市全体での中央要望は困難とする考えを示した。

 函館市と道は「函館マリンバイオクラスター」として海洋環境の計測、予測技術の確立、沿岸の海洋資源などを活用した食品や医薬品の開発など4項目を研究テーマに提案し、文部科学省は今年7月、同事業の「グローバル拠点育成型」に採択。2013年度までの5カ年計画で、本年度は3億円がすでに交付されている。

提供 - 函館新聞社




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