往時をほうふつ 高穂神社の社務所復元

update 2009/11/4 14:16

 函館市上湯川町2の高穂神社(澤口廣宮司)で建設中だった社務所、客殿、調理場がこのほど完成した。日魯漁業創業者の平塚常次郎の養女・千鶴子さん(95)=東京在往=が住んでいた旧家の材を利用して同様に復元し、社務所などにした。3日に行われた「復元建築物清祓入魂祭」には函館在往の平塚家親族も出席。往時をほうふつとさせる大広間で、珍しい「釜鳴(かまなり)の神事」が執り行われる中、松前神楽などが奉納された。

 高穂神社は1911(明治44)年開基。80年に創建され、2010年の神社創建30周年を記念し、記念事業実行委により、鳥居などの建設などを進めてきた。社務所などは今年6月に上棟式が行われ、10月30日に完成した。澤口宮司によると、千鶴子さんが住んでいたのは、150以上年前に松前町で建てられた武家とみられ、後に同町内の漁師が使用、19(大正8年)年に常次郎と同じ日魯創業者の堤清六が購入し、同市湯川町に移築。長年、千鶴子さんが住んでいたが住人が居なくなり、2004年に取り壊された。

 解体作業をした市内の宮大工・原田組の原田徹社長(49)が「建物を支えているヒバやカツラなどの木材はまだ使える」と、澤口宮司や関係者に相談し「移設復元工事」が決まった。玄関や天井、階段の造りなどは異なるが、ほぼ正確に再現された。

 この日は本殿の同神社の秋祭り(神恩感謝祭)に続き、社務所客殿完成を祝った。入魂式には常次郎の妹の孫に当たる、ニチロ会(日魯のOB会)の加藤清郎会長(75)ら平塚家の親族4人や氏子など約100人が参列。釜鳴の神事は、水を沸かした釜の上に米を入れた木製の円形の筒を乗せ、釜を熱すると大きな音で釜が鳴り響く。強く、長く鳴るほど良いとされ、この日は参列者が耳をふさぐほど大音量が響く中、京都や札幌などから駆けつけた神職が新築を祝い舞などを披露した。

 祭礼後、加藤さんらは原田社長の案内で建物の説明を受けた。原田社長が「大広間は当時と同じ16畳」と語ると加藤さんは「もっと広かったような気がする。戦時中は疎開したり、戦後の夏には皆が集まって楽しいひとときを過ごした思い出がよみがえる。天井や梁(はり)を残し、見事に再現した原田さんにお礼を言いたい」と話していた。

 原田社長は「多くの人に喜んでもらえ、大工冥利(みょうり)に尽きる」、澤口宮司は「千鶴子さん以前の持ち主を調べ、150余年前の建物を後世に伝えていきたい」と話していた。

提供 - 函館新聞社




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