財政再建、医師確保に全力 森・佐藤克男町長インタビュー

update 2009/10/26 09:47

 【森】森町の佐藤克男町長(59)が20日で就任1年を迎え、このほど、函館新聞社のインタビューに応じた。競売入札妨害(談合)の罪で逮捕・起訴(有罪)された前町長の辞職に伴う選挙で当選を果たし、しがらみのないまちづくりを掲げ、町の活性化に取り組んできた。「町の営業マンとなって、町民が誇りを持てる町を作る」と2年目の町政執行に意欲を示した。インタビューの要旨を紹介する。

 ――前町長の長期政権の弊害がよく言われました。しがらみや反発はありませんでしたか。

 私は立候補するまで横浜にいましたから、町の派閥には無関係。しがらみは全く感じない。懸案だった経済界との関係は、当選してすぐに私から商工会議所の会頭にあいさつに行きました。町の団体や企業に対しても、わたしが出向き、わざわざ役場に来てもらうようなことはさせなかった。対立候補の陣営に対してもです。私のこうした行動を素直に受け止められたのでしょう。反発する人もいますが、おおむね多くの人たちと良好な関係ができていると思います。

 ――この1年で挙げた成果は。

 まず、町を活性化するには森町を知ってもらうことと思いました。職員に調べさせたら、森町は食料自給率276%、エコエネルギー自給率189%だった。このことを町内外の会合や出張先の講演会で常々アピールしています。そうすると聞いた人が関心を寄せてくれます。イベントの運営でも私なりのノウハウや人脈を使い、仕掛けをします。例えば、ふるさとまつりでは地元の特産品が売り切れになり、会場周辺が交通渋滞になるほど人が来ました。

 それから、3年間の期限で職員の給与カットをしました。町財政の立て直しには、避けられないと思い、職員にお願いしました。職員には感謝しています。

 ――役場の雰囲気が変わったそうですが、職員に対しては何か指導しましたか。

 就任当初の職員の印象は素直で優秀と思いました。ただ、今まで教育されていなかった。職員には「町民はお客さまという意識を持ちなさい」と言いました。7月から職場全体で朝礼を励行し、この10月から管理職研修を始めました。職員には毎日、メールを送っています。最近、職員からいろいろと提案が出てくるようになり、良い提案は採用しています。職員が元気になれば町も活気づく。そう信じています。

 ――北海道新幹線の札幌延伸は反対と聞きましたが。

 反対しているわけではありません。ある会合の席で質問したことが、反対と受け止められたのでしょう。ただ、北海道の悲願だからという理由で賛成とは、いかがなものか。賛成、反対よりも、まずしっかりメリット、デメリットを検討してから判断すべきと考えます。延伸で函館―札幌間の所要時間が1時間程度となれば、例えば、函館、道南に支店のある企業は撤退の判断をするでしょう。道内は札幌の一極集中化が進み、ますます、函館圏や森町の衰退が予想されます。

 ――今後最優先に取り組む行政課題は。

 国保病院の医師確保です。医師が体調を崩すなどしたため、今月から当面、火曜と木曜の夜間診療を休止しました。町の医療体制を守るために医師確保を最優先にやります。合わせて病院事業の経営健全化も図らなければならない。財政の独立なくして自主独立はないと思います。町営温泉など赤字事業の健全化を図るとともに、税などの滞納金の収納強化もします。低所得層は別として、支払い能力があるのに払わないのは民主主義のルールからおかしい。こういう人には厳しく対応します。

提供 - 函館新聞社




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