南茅部で縄文フォーラム、講演や体験講座

update 2009/10/25 10:10

 NPO法人函館市埋蔵文化財事業団主催の「2009 縄文の道フォーラム〜海と縄文文化〜」が24日、約80人が参加し函館市川汲町の南茅部公民館で開かれた。復元した縄文人の容姿や縄文文化の奥深さを専門家が伝え、縄文時代の釣り針作りを学ぶ体験講座も行われた。参加者は当時の生活に思いを寄せながら、現代に生かせる柔軟な視野や物事のとらえ方を学んだ。

 縄文文化は海と森にはぐくまれ、自然豊かな南茅部はまさにその文化が発展した地。この悠久の歴史と文化を財産に位置づけ、現代人の生涯学習推進を図ろうとフォーラムを企画した。

 国立歴史民俗博物館の西本豊弘教授(62)が「『南かやべの豊かな海の幸』〜道南の貝塚調査から〜」の演題で講演。南茅部や戸井、恵山の貝塚遺跡調査から、古くから一帯の水産資源は恵まれていたとし、「魚を狙って海獣(オットセイ)が海峡に入る。縄文人も海の資源を生活の糧にしていたのは明らかで、動物の骨で狩り道具をこしらえ、数人乗りの船で海獣狩猟をしていたと推測される」と述べた。

 また、時代を超えても変わらぬ特産の魅力も紹介。「海藻類を積極的に生活に組み込んでいたのでは」と推察し、「南茅部はコンブの産地。遺跡では海藻の利用は確認されていないが、繊維としてコンブを利用していた北太平洋の諸民族の事例から、縄文人も食料や繊維に活用していた可能性はある」と結んだ。

 講演後は鹿角の釣り針作りが行われ、参加者は真剣な表情で、針先やかえしを鋭く加工。「うまくできない。面倒くさい」という児童に、「縄文人はこうやって針を作っていたんだよ。食べて生きていくための必死さがわかるでしょ」と促す母親もいた。

 市内臼尻の加藤詔三さん(65)は「興味深い内容の講演だった。縄文人の衣服や生活品は出土品などから分かる。一番興味があるのは縄文人の表情で、ぜひ見たい」。道教大函館附属小4年の佐藤健一郎君(10)は「針づくりに驚いた。縄文人のたくましさと賢さを感じ、勉強になった」と目を輝かせていた。

提供 - 函館新聞社




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