中島廉売「つゆきリビングショップ」が閉店

update 2009/10/14 13:16

 函館市中島町13の中島廉売で陶器や生活用品などを販売する「つゆきリビングショップ」(露木登店長)が、近く閉店する。登さんの父、故懿(よし)さんが同廉売で陶器店を始めて60年余り。登さん(70)は妻の稲子さん(67)と一緒に店を切り盛りし、街の移り変わりを見つめ続けてきたが、高齢のため決意した。茶わんやほうき、コップ…。店内に並ぶ在庫を売り切った時点で店じまいするつもりだ。

 「いらっしゃい」―。店内に入ると、座布団が敷かれた丸いすが目に飛び込んでくる。「お客さんと話すのが好きだからね」という登さんの言葉に、稲子さんは「この人らしいでしょう」とほほ笑む。

 登さんの父は1947年、同廉売で陶器類を扱う露店を始めた。57年には「露木陶器店」と名付けた店舗もオープン。登さんは幼いころから店の手伝いをしてきた。

 67年に稲子さんと結婚。2人で父の店の運営を支え、廉売にある約140の露店の中心を担った時期もあった。木古内、八雲まで売りに出掛けたことも。稲子さんは「乳母車代わりに段ボールに子どもを入れて働いた」と懐かしげに振り返る。

 85年に独立した後は陶器だけでなく、日用品や園芸用品など取り扱う商品を広げた。「お客さんあっての商売だから」と登さん。大手デパートの誕生などで競争が激化する中、多様化する客の要望に応え続けてきた。

 登さんの信条は「真は商いの基」。しっかりした日本製の陶器を扱い、自信ある商品しか客に勧めない。そんな人柄にファンも多く、結婚記念日に客からもらった手作りの置物や学生客からのプレゼントの品は、2人の宝物だ。

 長年の客商売をやめる寂しさはあるが、登さんは「ここまで育ててもらったのはお客さんのおかげ。時代が変わっても中島廉売が少しでも良くなれば」と願う。これまでの感謝も込め、店内の商品はすべて半額で販売している。

 客同士のけんかがあるほどいつもお祭り騒ぎだった廉売の活気ある光景は、今も2人の脳裏に焼き付いている。店のシャッターを下ろすその日まで、2人は優しい笑顔で客を出迎える。

提供 - 函館新聞社




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