神山茂賞に近江さん…長年にわたり郷土史研究、身近な形で市民に発表
update 2009/10/14 13:15
社団法人函館文化会(安島進会長)は13日、函館や近郊の郷土史について優れた研究を収めた個人や団体に贈る2009年神山茂賞に、函館市白鳥町の無職、近江幸雄さん(72)が決まったと発表した。近江さんは長年にわたり郷土史研究に取り組み、道南の人物を広くこまめに研究し、身近な形で市民に発表してきたことなどが評価された。
同賞は昨年該当者はなく、2年ぶりの受賞者決定となった。近江さんは1936年函館生まれ。56年に市水道局勤務。88年発行の「函館市水道百年史」の編集に携わったほか、著書として「函館人物誌」「合津斗南藩と函館開拓使」を出版。北海道史研究協議会渡島地区幹事、南北海道史研究会会員として活躍。2003年には神山茂奨励賞を受賞した。
07年には「函館ふるさと紀行」を、今年に入り、20数年前から研究している函館出身の漫画家、挿絵家の小山内龍(本名・沢田鉄三郎、1904―46年)の生涯をまとめた「小山内龍―北の絵本作家」を出版。また、函館開港150周年を記念し、市内の出版会社と函館の歴史を題材にした「函館いろはかるた」を共同制作し、発売した。
市教委や学識経験者で構成する同賞選考委員会の安東璋二選考委員長は「歴史の中に埋もれかねない事柄や人物に光を当て、市民が郷土史に興味を持つような研究、発表の内容。今後の活動にも期待できる」と称えた。
近江さんは現在、本紙日曜日掲載「道南不思議夜話」(毎月2回)を執筆するほか、さまざまな講座などで講師を務める。「受賞はうれしい限りで今後の活動に責任を感じる。これまでは史実を大作としてまとめた方が受賞してきたが、小山内のような小さな本(A5判、54ページ)が評価されたことは今後、若い人が郷土史研究に励むきっかけになるかもしれない。これからも地道に研究し、青少年の教育に尽力していきたい」と話していた。
神山茂賞は函館出身の郷土史家、神山茂氏(1893―1965年)の業績をたたえ、函館文化会が88年に創設。函館の文化高揚に貢献する郷土史研究者奨励事業の一つとして、函館や近郊の郷土史について優れた研究、出版などの事跡を残した個人・団体を表彰している。89年から一昨年までに16個人4団体に本賞、4個人3団体に奨励賞が贈られている。
表彰式は神山氏の命日にあたる11月7日、函館市末広町4の五島軒本店で開かれる。
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。