夷酋列像の魅力語る 宇江佐さん「小さな絵に大きな世界」
update 2010/9/20 12:12
【松前】松前高校(石塚耕一校長)の生徒2人がフランスへ派遣(30日―10月10日)されるのを前に、函館市在住の作家、宇江佐真理さんを招いた事前学習会が19日、同校で開かれた。宇江佐さんは生徒2人に松前藩の家老、蠣崎波響の人物像や「夷酋列像(いしゅうれつぞう)」の特徴、自身の作品執筆のきっかけを詳しく語った。生徒2人は真剣な表情で聞き、海外派遣への意欲を高めていた。
同校では、生徒に国際社会への理解を深めてもらおうと、今年初めて海外派遣を行う。派遣されるのは3年生の堀翔平君と2年生の三浦賢也君の2人。パリやブザンソン市のルイ・パスツール高校で研修する。ブザンソン美術館で松前ゆかりの名画「夷酋列像」を見学することが今回の研修の最大の目的。
宇江佐さんは波響の生涯を「夷酋列像」という作品にまとめ、発表していることから、同校が講話を依頼、実現した。宇江佐さんは「ブザンソン市で『夷酋列像』が発見されたことをニュースで知り、波響に興味をもった」とし、「絵の素晴らしさ、人物にひかれた。この絵にはドラマがあると感じた」と、作品を書くきっかけを語った。
宇江佐さんは「夷酋列像」を「描写が細密。小さな絵の中に大きな世界がある」と評した。フランスに渡ったことについては「松前藩が国替えになり、引っ越しの際になくなったのでは」とし、「国替えにならなければ、松前にずっとあったはず。絵の運命を感じる」と語った。また、波響について「温厚でまじめな性格だったと思う」と話した。
最後に「若さでいろんなことを感じてほしい。楽しんできてください」と生徒にエールを送った。堀君と三浦君は「小説を読み、宇江佐さんの話を聞いて、さらに波響のイメージが膨らんだ」と感想を話していた。
提供 - 函館新聞社
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