「自由の女神像」撤去 西部地区景観論争に一応の決着

update 2010/8/20 10:04

 歴史的な景観が残る函館市西部地区の二十間坂上に設置されていた高さ約6メートルの「自由の女神像」が19日、撤去された。作業は市民や観光客約100人が見学する中で行われ、設置業者のマルキタ北村水産(北村暢一社長)元町店屋上の展望テラスに保管された。市が撤去勧告を通知するまでに至った2カ月半に及ぶ景観論争は、像の撤去という結末で一応の決着をみた。

 撤去作業は午後4時から開始され、作業員約10人とクレーン車1台で行った。土台のモルタルをはがして像を固定していたボルトを除去後、クレーン車で一気に約10メートルまでつり上げて、屋上テラスに置いた。像は横向きで保管され、上にはブルーシートが掛けられた。

 市は景観上の問題などから像の保管場所を市内の倉庫と希望していたが、12月以降は有料になるため、同社の屋上となったという。像の今後について北村社長は「これから店も繁忙期になるため、年内は屋上に置く」と話し、「景観を考え近くベニヤ板の屋根を設置して見えないようにする。像の今後は年明けに考える」と明らかにした。

 像は同社が元町店の敷地内に「二十間坂の女神像」として6月5日に設置。これを受け市は、「周囲の景観と調和していない」とする見解を固めて同30日に撤去指導を行った。7月14日には勧告を実施したが、同15日に北村社長が会見を開き、知人で歌手の佳山明生さんの説得などが理由として、8月20日までの撤去を表明していた。

 像をめぐっては宗教団体や市民団体などから、撤去を求める陳情・要望書7件が市に相次いで提出された。だが内容は像をめぐる景観問題だけではなく建物の外観などにも言及。北村社長は現状を説明するため、市を交えた団体側との3者で話し合いを望んだが、ほとんどの団体は応じていない。

 市の荒井俊明都市建設部長は「指導に従い撤去してくれてよかった。今後は両者の話し合いの場を設ける。また再発防止に向け、条例やガイドラインの見直しを進めていくと同時に、条例の周知も行っていく」と述べた。

提供 - 函館新聞社




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