相次ぐ登山遭難 知識、準備万全に

update 2010/8/5 10:32

 今月に入り日高山系で相次いで起きた登山者の遭難事故について、道南の登山関係者は「山に対する知識不足、準備不足に起因している」と口をそろえる。道南では遭難事故は少ないとされているが、折からの登山ブームで愛好者は増加傾向にある。登山の知識、心構えの啓発など事故の再発防止に向けた取り組みが急がれる。

 2日はヌカビラ岳で登山ツアー客8人が疲労で動けなくなり道警に救出された。さらに2日から3日にかけて、幌尻岳では女性登山者4人が額平川を渡る途中、1人が下流に流され死亡、3人は救助された。

 特に、幌尻岳の事故について、北海道アウトドアガイドの資格者で、函館山楽クラブの丸岡進一会長(46)は「川を渡る際、ロープは必需品。登山愛好者の中では常識」とし、遭難者の準備不足や経験不足を指摘。「山と平地では天候の差があり、変化もめまぐるしい。直近の天気予報を確認し、無理な登山は避け、危険が伴う場合は中止、撤退することも大事」と語る。

 登山愛好者の中には、日本百名山の登山を楽しむ愛好者も多く、近年、旅行会社などが企画するツアー登山が増えている。函館山岳連盟の会長で、函館山岳会の野口邦夫会長(62)は「ツアー参加者の中には連れていってもらうという意識が先にある」と指摘する。同会では、個々の能力や経験に応じた山の登山を励行し、初心者を難所の山に同行させることはしない。野口会長は「登る山を事前にしっかり勉強し、自分の体力、経験を的確に判断して臨んでほしい」とアドバイスを送る。

 道警函館方面本部によると、昨年の道内の山岳事故は、10人が命を落としたトムラウシ山の遭難事故を含め49件(前年比13件増)で、遭難者の総数は100人(同61人増)に上った。道南の発生事故は狩場山(せたな町)で札幌の山岳会メンバーの女性が滑落で骨折した事故があった。

 同本部は登山計画書の提出を呼び掛ける。登山する日時、場所、登山ルート、装備品などを記載し、各警察署に提出するもので、提出は登山者の任意。昨年は遭難事故49件中、提出は14件と28%にとどまっている。

 同本部地域課は「事前の登山準備に対し助言ができ、万が一遭難しても迅速に対応できる。ぜひ提出してほしい」と訴える。

 渡島、桧山の関係市町や警察、消防などでつくる「南北海道山岳遭難防止対策協議会」は、毎年行っている夏・冬山に対応した救助訓練を今秋も実施する予定で、同協議会は「道南の山での遭難は極めて少ないが、危険性は計り知れない。登山者への注意喚起をこれからも続けていく」としている。

提供 - 函館新聞社




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