西洋音楽発祥の地は函館…年内に冊子発行へ

update 2009/10/4 12:27

 函館の音楽文化を守る活動に励む「函館メサイア教育コンサート実行委員会」(松原仁委員長)は、西洋音楽が伝わった明治初期の函館の様子を伝える冊子「箱館開港と音楽」(仮称)を、年内にも発刊する。記録絵や楽譜でペリー提督が訪れた箱館の幕末期についても紹介。「近代日本の西洋音楽発祥地は函館」という史実はあまり知られておらず、その風化を食い止めるのが狙いで、関係者は「函館の魅力再発見につながれば」と期待している。

 同実行委音楽監督の徳永ふさ子さんによると、近代日本に西洋音楽が初めて導入された舞台は、函館ハリストス正教会。洋楽史研究家の中村理平氏(故人)が明らかにし、横浜より1年早い1871(明治4)年に、ロシア人読経者が日本人信者に日本語で聖歌を歌わせていたのが始まりという。

 この史実について言及している文献を2年前に読んだ徳永さんは「音楽の観点から函館開港150周年を盛り上げたい」と考えてきたという。今年9月には「黒船が運んだ西洋音楽」をテーマに演奏会を開き、そのユニークな試みが注目を集めたばかりだ。

 今回の冊子編集では、函館市史や中村氏の著「キリスト教と日本の洋楽」、弘前の国学者、平尾魯僊(ろせん)=1808―80年=の「洋夷茗話」などを参考文献とした。73(明治6)年の同教会で、バイオリンを使ったソルフェージュ(旋律や音階を母音や階名で歌う練習法)教育が行われていた記述や、米国の船員がピッコロと太鼓で水兵を弔った葬送曲の楽譜も盛り込む。当時箱館と関係が深かったロシアとの交流の歴史、西洋音楽が箱館から東京へと南下していく経緯についても触れる。

 徳永さんは「中村氏が掘り起こした史実を大勢の市民に共有してほしい。いつまでも語り継がれ、音楽活動の動機になればと願って冊子を作っている」と話している。

 冊子は40ページ程度のA4判。500―800円で、約1000部発刊する。予約の申し込みは同実行委TEL080・5583・6832。

提供 - 函館新聞社




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