【煙のゆくえ・4】職場、経営者の判断に左右 飲食店、愛煙家に解放の店も

update 2010/8/2 12:10

 身近な職場や飲食店の禁煙や分煙の状況はどうか。函館商工会議所常務理事の桜井健治さんは「経営者の自覚で決まる」と言い切る。会議所では事業所の判断を尊重し、これまでも分煙指導などの取り組みは行っていない。「社長がたばこ好きだと対応は難しい」との立場だ。

 だが、会議所自身はビルを移転した昨年4月、すべての事務スペースを禁煙化した。職員の半数はたばこを吸うが、対外的なイメージも重視した。「会頭をはじめ喫煙習慣のない役員が多く、取り組みやすかった」(桜井さん)。喫煙に要する時間は「頻繁に席を外す人もいる。かなりの時間がロスになり仕事の能率が下がる。業務にも差し障りがある」と問題視する。車庫内部に喫煙室を設けたが、利用時間は午前10時と午後3時の1日2回に限定。喫煙習慣のある男性職員(41)は、「正直言うと時間外でも吸いたい時はあるが、制限されたことで業務に集中できる時間は増えた」と納得した。

 庁舎の禁煙化を進める道に足並みをそろえた企業もある。海洋土木の菅原組(函館市浅野町)は「建設業界は意外と敏感だ。国や道が仕事先となるので、人を迎える会社の事務所を禁煙にするのは自然な流れだった」とする。だが、このような取り組みはまだまだ多数派とは言えない。

 客と従業員が同じ空間で過ごす時間が長いのが飲食店だ。市内でも「食事の後に一服すると気分が落ち着く」(函館の30代男性)という愛煙家は少なくない。喫煙席は簡単に無くせない。そこで禁煙席を設ける店も多いが、「食べている時に隣のテーブルで吸われるのは嫌だ」(函館の40代女性)との声も無視できなくなってきた。

 禁煙や分煙に悩む飲食店からは「今こそ、愛煙家がくつろげる場所を提供して集客につなげたい」という声も出てきた。函館市港町1の喫茶店「クロエ」を経営する青木太さん。自身は喫煙しないが、営業戦略として「愛煙家が心地よく居られる店づくり」を掲げる。青木さんの狙いは当たり、禁煙や分煙の流れが広がる中で肩身を狭くしている愛煙家で店はにぎわっている。近くにある市立函館病院は敷地内が禁煙のため、医師や看護師だけでなく患者も訪れる。

 青木さんは「あえて禁煙にして収益を下げるリスクは負いたくない。吸わない人には我慢してもらう」と力を込める。たばこを片手に友人との会話を楽しむ市内の女性(32)は「吸えない場所では我慢する。ここでは気にせずくつろげる」と、笑顔で紫煙をくゆらす。

提供 - 函館新聞社




前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです