箱館奉行所オープン 待ちわびた市民1245人【函館】

update 2010/7/30 09:51

国の特別史跡・五稜郭跡内で函館市が復元工事を進めていた「箱館奉行所」が29日、一般公開された。雨模様のあいにくの天気となったが、開館前には待ちわびた市民の長い列ができるなど、初日は1245人が入場した。これに先立ち、同奉行所大広間で開かれた記念式典には、西尾正範函館市長や高橋はるみ道知事など関係者ら約100人が出席。140年ぶりに当時と同じ場所、工法で忠実に再現した同奉行所のオープンを祝った。

 記念式典は江戸時代さながらの雰囲気で、出席者が大広間に座って行われた。西尾市長は「箱館奉行所が起点となり地域文化の振興発展、国際観光都市函館の発展につながるものと確信している」と式辞を述べた。終了後に内覧した高橋知事は「瓦にさまざまの色を使っており、復元の努力を感じた。函館の魅力ある歴史が、アジアから道南への観光客誘致につながれば」と話していた。続いて、玄関でテープカットを行った後、和太鼓による演舞が披露され祝いムードを盛り上げた。

 午前11時半のオープン前には約350人の行列ができた。ピーク時には同奉行所前広場から藤の棚付近まで達し、混雑に対応するため約30人ごとに入場調整を行った。

 来場者は72畳の備後畳が敷き詰められた一之間から四之間からなる大広間や、屋根裏の伝統的な小屋組を天井板を外して公開しているコーナーに目を奪われていた。大広間では「木の香りがいい」「新しい畳は気持ちいい、畳の作りも違う」などと話しながらすり足で歩き、畳の感触を確かめる人や、壁に手を当て感触を確かめる人もいた。

 祖父が五稜郭公園の管理員をしていたという市内の主婦北島光子さん(80)は「祖父が住んでいた管理事務所は、箱館奉行所の廃材を使ったものと聞いていたのでとても懐かしい思いで見物できた」と感慨深げ。青森市の無職西田雄平さん(71)は「青函の観光交流にいい影響を与えてくれると思う」と展示物に見入っていた。

 同奉行所は1864(元治元)年に北方警備の拠点として設置され、後に箱館戦争の舞台となった。旧幕軍降伏後の71(明治4)年に解体された。復元工事は2006年から4年の工期をかけ、6月30日に完了。総工費は約28億円。幕末当時、約2700平方bあった同奉行所の3分の1に当たる、約1000平方bを復元。残りの部分は、建物が存在した部分の地面に線を引き当時の規模を表した。

 内部は大広間などの「再現ゾーン」や奉行所と五稜郭の歴史をパネルなどで紹介するほか、天井板を外して伝統的な小屋組を見せる「歴史発見ゾーン」など、それぞれ見どころの違う5ゾーンに分かれる。開館時間は午前9時―午後6時(11月から3月は午後5時まで)。入場料は大人500円、学生や生徒、児童は250円。

提供 - 函館新聞社




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