医学部設置で活発意見
update 2010/7/19 23:31
函館市が、公立はこだて未来大学への医学部新設の可能性を審議する場として設置した「医学部設置検討懇話会」(委員10人)の初会合が18日、市内若松町のロワジールホテル函館で開かれた。会長に今井浩三・東大医科学研究所付属病院長を選出、医師不足の原因や設置した場合の教員確保などについて、活発な意見交換が行われた。
医学部設置をめぐっては、民主党が政権公約(マニフェスト)に医学部定員を1・5倍に増加することを盛り込んでいるほか、文部科学省も6月に医学部新設の容認を検討する方針を打ち出している。市は今懇話会で設置の必要性や意義のほか、財政負担などの諸課題について有識者に検討してもらい、判断材料とする考え。 西尾正範市長は冒頭、「医学部新設は地域振興上、非常に大きな意味を持つ。よりよい方向付けが見えれば、議会や地域と相談しながら取り組みたい」とあいさつ。今井会長は「道内は広い地域を3つの医大でカバーしている。経済状況の悪化の中で、何か新しい手を打たなくてはと考えている」と述べた。
初回は市が設置検討の取り組みや、道内の医師数の変化などを説明した上で、医師不足の要因として@過酷な労働時間A診療密度の上昇B臨床研修制度の導入 C女性医師の増加―を挙げた。
各委員からは「道立江差病院は最盛期に23人の医者がいたが、現在は13人と確保に苦労している」「国民が医療に求める質が高くなり、専門が細分化した。地域や科も特定の場所に偏在している」など、道南の地域医療の現状が説明された。 新設した場合の課題として教員の確保や、地元からの人材流出を懸念する声も多く、「研究を担う人材をどう養成するかが、地域医療と同様に重要」「作ったとしても研修医が残らなくては、医師を派遣できる態勢が整えられない」などの意見が上がった。医大教授からは、定員の中に地元出身者枠を設けて対応している事例などが示された。
また、未来大の中島秀之学長は「IT技術を使うことで医師不足は軽減できる。今後を考えると、ITとのドッキングは重要な要素だ」と、設置の有効性を訴えた。 懇話会は年末までに2度開く予定で、次回は同大への設置が必要かどうかとともに、設置した場合の特色や機能について話し合う考え。
提供 - 函館新聞社
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