「困った時は助け合い」中島廉売火災で被災した奥野商店に、業務用冷蔵庫プレゼント

update 2010/7/11 10:08

函館市の中島廉売火災で被災し、6月24日に新装オープンした奥野商店(奥野隆宏代表)に、同廉売の同業者から業務用冷蔵庫がプレゼントされた。奥野商店の先代に魚の仕入れなどを教わった中島町22、魚卵・冷凍魚販売店、野沢商店の野沢賢一代表(66)で、野沢さんは「先代の時から36年来のつきあい。困ったときは助け合うのは当然」と言葉少なに笑う。

 野沢さんが現在の店を構えたのは、36年前。当時営んでいた青果業から現在の商売へと移る際、先代の奥野譲さん(75)から商品の目利きや、仕入れ業者の紹介などを受けた。「当時はすべてが初めての経験だった」と語る野沢さん。譲さんに付いて、必死に技術を学んだ。

 3月16日に火災が起き、奥野商店が被災し、その後仮店舗で営業を開始した時は、じっと見守った。新たに新店舗でのオープンが決まり、譲さんから隆宏さん(44)へと代替わりしたとき、「今度は俺が恩返しをする番」と、今まで身に付けた技術を、隆宏さんに伝授した。

 「筋子の選び方や、良い魚の見わけ方を徹底的に教えてもらった」と隆宏さん。開店祝いに、ほぼ新品の業務用冷蔵庫を贈った野沢さんは「他にはなんも贈らねえぞ」。

 隆宏さんは「廉売関係者やお客さまはもちろんのこと、野沢さんから冷蔵庫をいただかなければ、店は再開にこぎつけられなかった」と話す。野沢さんは「別に特別なことをしたわけじゃない。同じ廉売で店を構える者として手助けをしただけ」と表情を変えずに語り、「これで少しは恩返しができたかな」と武骨な顔がほころんだ。

提供 - 函館新聞社




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