立松和平さんの遺志を継ぐ 桧山古事の森で育樹祭
update 2010/7/3 09:34
【江差】2月に急逝した作家・立松和平さんの提唱により、数百年後の道南で神社仏閣や城郭など歴史的建造物の保存・修復に必要となる、ヒノキアスナロ(ヒバ)の資源備蓄を進める、江差町椴川国有林の「桧山古事の森」で2日、林業関係者による育樹祭が開かれた。参加者は立松さんの遺志を引き継ぎヒバの美林を後世に残そうと、下草刈りや除間伐などの保育作業に汗を流した。
育樹祭は桧山古事の森実行委員会(山田米蔵委員長)が主催。桧山振興局、桧山森林管理署のほか、桧山管内の林業会社などから約20人が参加した。山田委員長は「古事の森を守り育てることで立松さんへの追悼としたい」とあいさつ。参加者は草刈り機やチェーンソーでヒバの苗木に日光が届くよう、草刈りや除間伐を行った。古事の森の育成に携わる道指導林家の坂野正義さんは「30センチに満たなかった苗木も芯となる幹が立ち始め、これからどんどん成長する。立松さんも天国から見守ってくれるはずだ」と話した。
立松さんが提唱した古事の森構想は、城郭や神社仏閣など文化財の保存・修復に必要な木材の備蓄に向けて、数百年の長い年月をかけて、国内では確保が難しくなったヒノキやケヤキなどの巨木を不伐の森≠ニして住民の手で守り育てるもの。林野庁を中心に京都の鞍馬山、奈良の春日山、和歌山の高野山など全国で取り組みが拡大している。
道南の歴史的建造物にも多用された桧山産のヒバは、江戸時代からの伐採で枯渇状態にある。文化財の修復に欠かせないヒバの確保は大きな課題だ。桧山古事の森は2003年、天然ヒバが自生する椴川国有林の約5fが全国3番目、道内で唯一の指定を受けて植樹活動をスタートした。05年の植樹会には、生みの親である立松さんも参加し、地域の子どもたちとともに200本の苗木を植樹した。
提供 - 函館新聞社
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