「大黒湯」創業103年の歴史に幕
update 2010/6/30 09:36
創業103年の歴史を持つ函館市弁天町14の銭湯「大黒湯」(野村昭吾店主)が、設備の老朽化などを理由に30日で廃業する。現在、野村さん(83)は入院中で、一人で店を切り盛りする妻タミ子さん(78)は「迷いはあったがお父さんと2人で決めたこと。最終日は私にとっての定年退職だから、精いっぱいお客さんに感謝の気持ちを伝えたい」と話している。
大黒湯は野村さんの父善之助さんが1907(明治40)年に宝来町で開業した。現在の建物は移転後の23(大正12)年に新築された。野村さん2歳のときに父が死亡し、母のタマさんが9人の子どもと銭湯を細腕一つで支えてきた。その背中を見て育った野村さんは昭和30年代から本格的に後を継ぎ、現在までタミ子さんと夫婦二人三脚で店を守ってきた。
内風呂の普及や高齢化、原油高騰などで経営は昔に比べて厳しい状況というが、「お客さんに支えられて今までやってこられた。廃業を知った人からは惜しむ声も頂けた。それだけでこの50年は大満足」と笑顔のタミ子さん。最後の日も普段通り、朝一番の仕事であるボイラーの火入れから開店準備、愛着ある番台で仕事に精を出すつもりだ。お湯の温かさと人情、レトロな雰囲気が魅力の「大黒湯」は姿を消しても、市民の心の片隅にやさしい思い出として残り続ける。
営業時間は午後2時40分から同8時まで。入湯料は大人420円、小学生以下140円など。
提供 - 函館新聞社
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