支庁再編条例、10月1日施行は断念

update 2009/9/30 13:38

 【江差】道の支庁制度改革をめぐり高橋はるみ知事は、総合振興局から振興局に移管する広域業務の取り扱いをめぐり道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)や江差町など振興局地域との調整が難航している影響で、10月1日に予定していた支庁再編条例の施行を断念する事態に追い込まれた。広域事務の取扱をめぐる両者の隔たりは大きく、支庁再編をめぐる対立を収拾できない高橋知事の政治的責任が問われそうだ。

 24日に札幌で開かれた、桧山など5振興局地域の町村長による協議では@広域事務の移管は総合振興局への事務集約にすぎないA事務の一部を総合振興局に移管すると三重行政の弊害を招く―などの問題点を指摘。協議を受けて、25日の道町村会理事会では、検討案の見直しと振興局地域での公開協議を開催するよう道に求める方針で一致した。

 寺島会長は「広域観光や新幹線開業に伴う地域振興など広域的な視点が必要な業務が“広域事務”に該当するのではないか。道案では広域事務の名目で振興局の組織体制を縮小するだけ。14支庁を対等とする再編条例改正の趣旨に反する」として、公開協議を通じて道の認識をただす考えを示した。

 一方、高橋知事は29日、道議会の一般質問で、再編条例の施行時期について「できるだけ早期に施行期日を定めることが必要。期日を定める規則制定について近々に判断する」とした。その上で「地元理解が一定程度進んできた。条例に基づく正式な協議に移行したい」との考えを示した。

 再編条例の第3条では、広域事務の範囲を定める際、関係市町村の意見を聴くことを定めている。高橋知事が主張する正式協議を行うには再編条例の施行が前提となるが、再編条例には一定の周知期間が必要で、施行期日が定まらない現状では、第3条のみの施行という“ウルトラC”も必要になる。しかし、これまで事前協議に応じてきた市町村の反発は必至で「道が強行突破に出れば反対運動の再燃もあり得る」(関係者)との声もあり、市町村との対立に拍車を掛ける恐れもある。

 政権交代に伴い、道が支庁改革の前提とする道州制や地方分権をめぐる政策は転換点を迎えている。民主党内では再編の凍結や白紙化を求める声も浮上。与党の後ろ盾を失った高橋知事の焦りが垣間見える。だが、拙速な議論によって支庁再編をめぐる議論を再び迷走に導くことがあってはならない。

提供 - 函館新聞社




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